小説など

『永遠の0 (ゼロ) 』『輝く夜』(百田 尚樹)

百田 尚樹さんが書いた本『風の中のマリア』が面白いと知人に聞いて、早速、この人の本を2冊読んでみました。

『風の中のマリア』ではありませんが、2冊ともよかった。
本当によかったです。

それで、この2冊の本をご紹介します。

『永遠の0 (ゼロ) 』

百田 尚樹さんの処女作です。

今年読んだ小説のなかで一番感動しました。

「全国の読者を感涙の渦に巻き込んだ」とあり、大げさだなと思いましたが、私も何度も感涙してしまいました。

P.448ページある分厚い本で、戦争の記述が多いので、苦手な人がいるかもしれません。

でも、読む価値のある本です。

ストーリー全部は明かせませんので、出版社の内容紹介から転載をします。

    「生きて妻のもとへ帰る」

日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく口にし、仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦パイロットがいた……。

人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始める。

祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかった。

元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵の姿は、健太郎たちの予想もしないものだった。

凄腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、生に執着する戦闘機乗りーーそれが祖父だった。

「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻に志願したのか?

健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって封印されていた
驚愕の事実にたどりつく。

はるかなる時を超えて結実した過酷にして清冽なる愛の物語!

祖父・宮部久蔵のことを知る人とのさまざまな出会いがあり、健太郎も慶子も、心動かされ、それぞれに成長していきます。

最後に行き着くまでに、皆さんもきっと何度か涙を流すでしょう。

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『輝く夜』

次は百田 尚樹さんの第2作目『輝く夜』(初版のタイトルは『聖夜の贈り物』)です。

5つの短編が一冊になった読みやすい本で、5つとも心温まる物語でした。

どの話にも、不幸せだが好感をもてる人物(主人公たち)が登場します。

そして、クリスマス・イブの夜、奇蹟が起こるのです。

こちらも出版社の内容紹介を転載します。

イブの一夜、五人の女性に起きた五つの奇蹟!

『永遠の0』で全国の読者を感涙の渦に巻き込んだストーリーテラー百田尚樹が贈る、愛をめぐる珠玉のファンタジー短編集!

恵子はクリスマス・イブに、長年勤めてきた会社から解雇を言い渡された。

人のことばかり考えていつも損をしている恵子は、この日もなけなしのお金を、ホームレスにめぐんでしまう。

ホームレスは「この万年筆で願いを書くと願いが三つまでかなう」と言って一本の鉛筆を恵子に渡すとニヤリと笑ったのだが…。

不思議な鉛筆をめぐって起こる奇蹟を描いた『魔法の万年筆』ほか、5人の女性たちをめぐる心揺さぶるファンタジー。

 

私は、第5話の「サンタクロース」に、特に感動しました。

両親は小さい頃からおらず、愛する恋人を交通事故で亡くて絶望していた女性。

イブの夜、お腹にいた子どもといっしょに自殺しようと見知らぬ町を彷徨っていました。

深夜、暗闇の中で一つだけ明かりが灯った教会を引き寄せられるよう訪ねると、温かなまなざしの牧師さん夫妻に出会います。

途中を本文から転載します。

牧師さんはゆっくり顔を上げて言った。

「その赤ちゃんを愛していますか?」

不思議なことに、私は「はい」と答えていた。

「その赤ちゃんに人生を与えてあげたいと思いませんか?」

突然、私の目から涙がごぼれた。

「思います」

「その赤ちゃんは必ず幸せな人生を送るでしょう。

牧師さんの目にもいっぱいの涙が溢れていた。

隣に座っている奥様も泣いていた。

その十数年後、不思議な事実が明かされます。

時空を超えた愛の深さに感動します。

【出典】百田 尚樹 著『永遠の0 (ゼロ) 』百田 尚樹 著『輝く夜』(講談社)

『永遠の0 (ゼロ) 』は、映画にもドラマにもなりました。