▼斎藤茂太氏、俗称モタ先生は、言葉と心の達人でした。
日頃、感動してきた言葉の数々を、モタ先生は本や講演を通じて、私たちにもおすそ分けしてくださってきたのです。
その秘訣は何だったのでしょう。
手帳に気に入った言葉をメモする
モタ先生、少年時代は、小づかいの大部分を日記帳購入に使い、日記をつけることを生きがいにしていました。
医者となって忙しくなってからは、手帳が日記がわりになりました。
その日記には、目にとまったこと、耳に入ってきたことは、どんどん書き留めておいたそうです。
そういう習慣は、様々な良い言葉を味わうこと、自分の心を豊かにしていくなど、様々な点で効果的です。
「ふと昔の手帳を開いてみると、そこには、私の心を引きつけた、さまざまな言葉も書いてある。
読み返すと、年齢とともに、同じ言葉も、さらに深く味わえるようになっていることに気づく。
以前より、もっと心を動かされることが増えてきた」
『続・いい言葉は、いい人生をつくる 』より
モタ先生は「痛み止めの言葉」をたくさんもっていた
▼いろいろな偉人・有名人の言葉があるのですが、私はむしろモタ先生自身の言葉に、ハッとしたり、なるほどと思ったりします。
●「生き方上手は、痛み止めの言葉をもっている」
さすが、お医者さんで、言語感覚の豊かな人の一言ですね。
モタ先生のように生き方上手の人は、思わぬ災難や不幸に出会っても、過度に落ち込むことも、悲しみをいつまでも引きずることもありません。
人間は倒れれば、痛さを感じるようにできています。
涙が流れることもあるかもしれません。
そんなとき、言葉がその人を癒し、力づけ、励まします。
そして、その人はまた立ち上がり、歩き始めることができるのです。
そんな言葉を、モタ先生はたくさんもっておられたのです。
▼痛み止めの言葉、元気になれる言葉、勇気がでる言葉、力がわいてくる言葉、やさしくなれる言葉、笑顔になれる言葉・・・
私も心が元気になれる良い言葉を見つけて、集めています。
それは、自分や誰かのための「薬箱」になるかもしれません。
●「生き方上手は、言葉の薬箱をもっている」
モタ先生は、「言葉の薬箱」をもっていて、その中から様々な言葉を私たちに届けてくださった方でした。
モタ先生、ありがとうございました。
私もモタ先生のように、「言葉の薬箱」(言葉の宝箱?)に言葉を集めて、どんどんまわりの人に届けていきたいと思います。
言葉の薬箱から、その人が元気になれる言葉をあげよう。
「言葉の薬箱」は「言葉の宝箱」でもあります。 (^.^)
【出典】斎藤 茂太 (著)『続・いい言葉は、いい人生をつくる 』(成美文庫)
斎藤 茂太プロフィール
1916年~2006年。東京生まれ。医学博士。精神科医。斎藤病院名誉会長。そのほか、日本精神科病院協会名誉会長、日本ペンクラブ理事、旅行作家協会会長など多数の要職を兼務。
明晰な頭脳と柔らかい発想で、人生を上機嫌に生きる名手。
人間味あふれる話し方、卓越した人柄で多くの人を魅了してきました。
歌人・斎藤茂吉の長男。作家・北杜夫の実兄でもあります。