失敗を経験すると、人は何かを学ぶものです。
言葉の上では知っていることでも、体験すると強烈な印象と記憶を伴って脳裏に焼き付くのです。
では、私の昔話をさせてください。
昔、昔、あるところに私がいました。(笑)
私は小学校の教師でした。その学校では、毎年、「かもめ祭り」というお祭りをしていました。
この「かもめ祭り」を目当てで、入学してくる子どももいるほど、それはそれはもう楽しいお祭りです。
そのお祭りでは、お祭りの御多分にもれず、ヨーヨーつり、輪投げ、射的、くじ引き、金魚すくいなど、いろいろな楽しい遊びができます。
では、その中の「金魚すくい」にまつわる裏話「金魚救い」です。
「金魚救い」のかもめ祭り
かもめ祭りで、大失敗をした。
金魚のことだ。
「金魚すくいをした人、金魚を学校で飼いたい人は、教室の水槽に入れておいてください」
当日の朝の会でこう言うと、子どもたちの反応が思いのほかよかった。
目が輝いている。
その瞳に金魚が泳いでいるような子もいた。
「水槽には自分で入れていいですか?」と、ある子。
「いいですよ」と、私。
朝の会が終わると、そのまま一目散に金魚すくいを目指した子が何人もいた。
しばらくして、教室の水槽をのぞきに行くと、すでに数匹いる。
また時間をおいて見に行くと、増えている。
どんどん集まってきて、すでに20匹は超えた。
水は、水槽の5cmくらいしか入れていなかったので、水が金魚の色で赤く染まった感じになっている。
そのまわりで子どもたちはうれしそうにはしゃいでいた。
かもめ祭りが終わり、役員のお母様方も帰られた後、しげしげと水槽を見たら金魚は40匹くらいになっていた。
水の深さをいっぱいにしてエアーポンプをつけないと、このままでは弱って死んでしまう。
水をバケツで運び、つぎたしていった。
恐る恐る、慎重に・・・。
実は、子どもたちは気づいていなったのだが、この水槽には1つの欠陥があった。
もともと目立たないところに小さなヒビがあったのだが、まあこれくらいは大丈夫だろうと思って、そのまま使うことにしたのだ。
念のためにした前日の実験では、そのヒビからは一摘も水は漏れなかった。
しかし、このまま水圧に耐えられるかどうか、保障はない。
水を目標値までつぎたした。
大丈夫のようだった。水は少しも漏れていない。
それを確かめるために、指でゆっくりとなでてみた。
その瞬間、バリ、バリリ・・・バリ!
ぞっとするような音がした。
見ると例のヒビがさらに大きくなり、
水槽の半分くらいに達しているではないか!
ゲゲゲ・・・
ま、まずい、このままでは・・・。
その裂け目から、ガラスが砕け、水が溢れ出し、教室の床をぬらして、プールと化し、金魚40匹がピチピチはねている状景が頭の中をかすめた。
それが授業中であれば、子どもたち34名も巻き込んでのタイタニック号さながらの阿鼻叫喚の大パニックとなる。・・・・・・
この後のことは、長くなるので書かないでおこう。
結局、幸い水槽は砕けなかったが、そのかわり、次の日の私の代休の計画がもろくも砕け散った。(トホホ)
金魚全員を救い、安全を確保するために、まる一日かかったのだ。
今、金魚たちは教室の新しい水槽でスイスイ泳いでいる。
「小事を軽んじるとヒドイ目に会う」
という教訓を学び、その翌日まで「金魚救い」がたっぷりできたお祭りになった。
2年1組学級通信「You make me happy」NO.28より
この失敗談から学んだ教訓
先日、昔の学級通信(小学2年生の保護者向け)を読んでいたら、結構、面白かったのでご紹介しました。笑っていただければ幸いです。
小事を軽んじるとヒドイ目に会う。
また「トホホ」とならないように、肝に銘じておきたいです。
蛇足ですが、この学級通信名「You make me happy」は、さだまさしさんのエッセー本をヒントにしたものです。
1学期 「You make me happy」
2学期 「夢行身発飛」
3学期 「ゆめいくみはっぴい」と、変わっていきました。