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奇跡のような微笑み
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名作『星の王子さま』を書いたサン・テグジュペリは、『スマイル』という短い物語を書いています。
スペイン市民戦争(1936年7月~1939年3月)のときの話です。
これは作者の実体験がもとになっているとも言われますが、その真偽は定かではありません。
そのあらすじを『こころのチキンスープ 愛の奇跡の物語』という本で読みました。
それをさらに要約してお届けします。
スマイル
監獄に入れられた僕は、もうすぐ処刑されることになっていた。
神経が磨り減り、気を落ち着かせるために、ポケットの奥に見つけた煙草を吸いたいと思ったが、マッチがない。
鉄格子のすき間から、看守が見えた。
無愛想な彼は僕をまったく無視していた。
しかし、僕は声をかけてみた。
「ちょっとすみませんが、マッチはありませんか」
看守は僕を一瞥すると、「今更なんの用だ」と言いたげに肩をすくめながら、やってきた。
が、看守は僕がくわえた煙草に火をつけてくれた。
その瞬間、目と目があった。
火花が二人の心と心、魂と魂の間を飛び交ったように思えた。
僕はなぜか彼に微笑んでいた。
看守も口元をゆるめたように見えた。
そうして僕らは笑みをうかべて見つめあった。
まるで、もう看守と囚人ではなく対等の人間であるかのように・・・。
「お前に子どもはいるのか」
彼が聞いた。
「ああ、写真がある。見てくれ」
震える手で家族の写真をひっぱりだし、彼に見せた。
彼も自分の家族の写真を取り出すと、子どもたちへの夢を話してくれた。
しかし、僕にはもう二度と家族に会えることはないのだ。
僕の目に涙があふれた。
彼の目もぬれたようになった。
その時だった。
突然、彼は無言で監獄のカギをはずしたのだ。
そして、僕を外に出してくれ、裏道を使い、街のはずれまで連れて行くと、僕を逃がしてくれた。
そして、彼は何も言わずに帰っていった。
わかるだろう。
奇跡が起こったのだ。
その奇跡を起こしたのは、他でもない。
あのときの、ささやかな微笑みだったんだ。
赤ちゃんのほほえみ
電車に乗っていたとき、ある駅で、赤ちゃんを連れた家族が乗りこんできました。
ベビーカーにいる赤ちゃんを見て、前の座席にいた女性の顔がパッと輝きました。
女子学生や男子学生たちの表情がやわらぎました。
年配の男性が、にこりと相好をくずしました。
その場所に、明るい光が射したように感じられました。
赤ちゃんが何かしたわけではありません。
赤ちゃんは、ただ無邪気に微笑んでいただけです。
微笑みは、赤ちゃんだけの特権ではありません。
あなたも、誰か他の人から、微笑をもって見つめられたときに、温かな気持ちになったことはないでしょうか。
微笑をもってあいさつされたときに、嬉しく思ったことはないでしょうか。
あなたも、誰かに心をこめた微笑をあげたいと思ったことはないでしょうか。
微笑みの効果
ときに微笑みは、心に奇跡を起こします。
そう信じる人にとって微笑みは、冷たさを温かさに、無関心を好意に変えます。
ときに微笑みは、心に奇跡を起こします。
そう信じる人にとって微笑みは、裁きを許しに、憎しみを愛に変えるのです。
あなたの微笑みも何かを起こします。
微笑みを必要としている人に、温かさを、好意を、許しを、愛を、生み出します。 (^.^)
参考出典:ジャック・キャンフィールド マーク・V・ハンセン 編著
『こころのチキンスープ 愛の奇跡の物語』
●関連するいい言葉
「あたたかい微笑み・・・妻に子どもに、そしてすべての人に、微笑みなさい。微笑は心に愛を育てます」マザー・テレサ