いい話

自殺未遂からドン底の生活を経て立ち直る(大平光代)

人間は、自分に真剣に向き合い応援してくれる人がいれば強くなれます。

ベストセラー『だから、あなたも生きぬいて』の著者で、弁護士として活躍中の大平光代さんは、中学二年生のときにイジメを苦にして、割腹自殺を図った経験があります。

その大平光代さんのお話です。

自殺未遂から暴力団の妻へ転落

大平さんは、自殺が知れると学校でのイジメは度を増し、親からも理解されず、次第に非行グループと付き合うようになったということです。

夜遊びに出かけるために親から暴力で金をせびり取り、家をあける日も続きました。

そして、ついには十六歳の時に暴力団の妻になり、背中にいれずみを入れるほど堕落していきます。

転機が訪れたのは、ホステスとなった二十二歳のときです。

幼いころの彼女を知る、父親の親友、大平浩三郎さんとの思いがけない再会からでした。

その後、大平さんは度々光代さんに会いに来ては、立ち直るように説得を続けます。

しかし、光代さんはその説得をいつもうわの空で聞き流すだけです。

光代さんの心が一変したのは、いつも穏やかな大平さんが声を張上げて叫んだときでした。

「確かに、あんたが道を踏み外したのは、あんただけのせいやないと思う。親も周囲も悪かったやろう。でもな、いつまでも立ち直ろうとしないのは、あんたのせいやで、甘えるな!」

このとき、彼女は「落雷にあったように体じゅうに電気が走った」と言います。

 〈やっと、私と真剣に向き合ってくれる人と会えた……〉

うれしくて体が震え、その場で泣き崩れました。

それを機に、立ち直る決心をした光代さんは、大平さんの事務所に勤め、宅建の資格をとるために勉強しはじめます。

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ドン底からの出発

彼女は小学校の時は、ふつうの成績でした。
中学校にはろくに通っていません。
一から勉強し直すことばかりで、何度も挫折しそうになりましたが、懸命にやりました。

なんと、その年、みごと宅建試験に合格しました。
大平さんと会う前の彼女には考えられないことです。
これが大きな自信になりました。

その後、司法書士試験にも合格。
そして、さらに猛勉強の末、二十九歳ときは、司法試験に一発合格をします。

人は、自分と真剣に向き合って応援されることで変わる

現在、彼女は非行少年の更正に努める弁護士として、東奔西走する毎日を送っています。

かつての自分のように困難のさなかにいてどん底の状態にいる子どもに、真剣に向き合い、手を差し伸べ熱いエールを送り続けています。