『自分の顔が好きですか?』という中高校生向けの本を読みました。
著者のかづきれいこさんは、フェイシャルセラピスト。
医療機関と連携し、傷や火傷あとなどのカバーや、それにともなう精神のケアをおこなう「リハビリメイク」の第一人者です。
顔を「かくす」のでは「受け入れる」
かづきさんは、子どもの頃から、自分の赤い顔のことで長い間、苦しんできました。
「赤デメキン」などと言われていじめられてきたり、顔のことが原因で無視されたり、陰口を言われたり・・・
たまらなく辛い思いをしてきました。
大人になり、お化粧ができようになると、赤い顔を隠すために、二時間もかけて顔が真っ白になるまでファンデーションをぬりました。
自分が嫌なものを隠すのに一所懸命でした。
でも、どんなに隠しても心は晴れませんでした。
顔の悩みはいつもありました。
しかし、三十歳のとき、自分の心臓に穴があることを発見。
その穴をふさぐ手術をすることで、顔の赤みが消えていったのです。
以来、かづきさんはメイクの勉強をし始め、自分と同じように顔のことで苦しんでいる人のために
「元気になるメイク」(リハビリメイク)を研究していきます。
何らかの原因で顔の傷を受けた人のなかには、精神的に傷ついて気力を失い、もとの生活にもどることのできない人が少なくないそうです。
患者さんがその傷をふくめた自分の素顔を「かくす」のではなく、「受け入れる」ことをめざすのが、リハビリメイクです。
顔と心はつながっている
「顔と心はつながっている」というのが、かづきさんの考えです。
かづきさんは、外観に悩みや苦しみをかかえて訪れててくる人に、
いつも言うそうです。
「あなたは、いい経験をしてるね。だって、悩みのない人には見えないものがあなたにはいっぱい見えているんだもの。
そこから立ち上がっていけば、人の二倍も、三倍も生きることになるのよ。それはすばらしいことでしょう?
みんなが五十歳や六十歳になって感じることをあなたは若くして感じているのよ。すごいと思わない?」
自分の顔のことで長い間悩んできたかづきさんだから言えることですね。
そして、いま何かで悩んでいる人は、かずきさんのようにいつかきっと、他の誰かの良い助言者になれると思いました。
「自分が欠点と思っているところもマイナスではない」
というかづきさんの考えにも共感しました。
実は、かづきさんは自分の鼻が低いというのも悩みの種でした。
でも、結婚したとき夫から次のように言われてそのコンプレックスは、うそのように消えたそうです。
「きみの鼻は小さくてかわいい。僕は鼻が大きいから、小さい鼻の人が好きなんだ」
かづきさんが長年欠点だと思っていたことは、むしろプラスに作用したのです。
自分で欠点だと思っているところを否定しない。
むしろ、それを受け入れて好きになると、自分の魅力にもっと気づくのかもしれませんよ。
また、「笑顔のすてきな顔をつくりたい」と彼女はいつも思うそうです。
「高くて形のよい鼻も、二重まぶたの大きな目も、笑顔にはかないません。
『あの子は笑顔がいいね』という評価は、その人の人間性までふくめたものだからです。
笑顔のパワーは、顔のパーツのよさとは比べものにならないほど大きなものです」
そうですね。
その人の魅力は、顔のパーツのよさではないと私も思います。
案外、鼻が低くて可愛いし、一重まぶたできれいな人もいます。
でも、それらはあくまでも顔のパーツに過ぎません。
笑顔がいい人は、顔のパーツがどうであれ、魅力があるのです。
また、かづきさんはこうも言います。
「『顔はたいしたことないね』と言われても、思いやりのある人は、自然とまわりに友だちが集まってきます。
そばにいて話をするだけで、優しさに触れて心がいやされ、安心できるからです。
こういう人は、みんなから大切にされるし、人間として愛されます。私はそういう人生のほうがよほど幸せだと思います」
私もそう思います。
第一印象では、確かに顔(の表情)は大切です。
でも、長くつきあっていくためには、もっと大切なものがあるのです。
心の冷たい人は、きれいな時にチヤホヤされることはあっても、長く人から愛されることはないでしょう。
でも心が優しく思いやりのある人は、そうではありません。
まわりの人は、そういう人といっしょにいたくなりますし、好きになるし、愛するようになると思います。
まわりの人に思いやりをもって接していれば、
「あなたの笑顔っていいね」
と言ってくれる人が必ず現れると思いますよ。
笑顔のいい人になろう。
「笑顔がいいね」は人間性を含めたあなたの良さです。(^.^)
【出典】かづきれいこ著『自分の顔が好きですか?』(PHP研究所)