私は、毎日、大豆が原料となっている納豆を食べています。
健康に良いし、おいしいからです。
ちなみに、大豆は納豆だけでなく、いろいろな食料品になって、わたしたちの食生活には欠かせないものになっていますね。
幼児や小学生に、大豆の良さを伝えたいので、短い物語を創りました。
タイトルは、「へんしん、できる」です。
よかったら、ご家庭や幼稚園や小学校などで、子どもたちへのお話のネタとして使っていただければうれしいです。
まめたのなやみ
まめたは、体が小さいのがなやみでした。
きゅうりくんやなすびちゃんは、せがたかいし、たまねぎくんやトマトちゃんは、ふっくらして大きいのです。
はたけがっこうで、めだって小さいのが、まめたといもうとのまめこでした。
あるとき、かぼちゃんに、
「おまえたち、ほんとに小さいな。」
とバカにされたようにいわれました。
まめたは、いいかえしました。
「小さいからって、わるいのか。」
「そりゃあ、わるいね。大きいのは、いいことだからな。」
ねぎくんにも、いわれました。
「おまえたち、ほんとにちびだな。」
まめたは、またいいかえしました。
「ちびだったら、だめなのか。」
「ああ、だめだね。せがたかいほうが、かっこいいからな。」
まめこは、ないてしまい、まめたは、くやしくてたまらなくなりました。
みんな、いいところがある
そのようすをみていたのは、はたけがっこうのこうちょう先生、いろいろなやさいをそだてているのうかのおじさんです。
こうちょう先生は、いいました。
「こどもたちよ。大きいのも、小さいのもいいことだよ。せがたかいのも、ひくいのもいいことなんだよ。みんな、それぞれいいものもって生まれてきたんだ。」
しかし、かぼちゃんもねぎくんも、なっとくしません。
「先生、ぼく、おとうさんから、大きいほうがいいって、いわれました。だから、どんどん大きくなりなさいって。」
「ぼくも、おかあさんから、せがたかいほうが、かっこいいって、いわれました。だから、ぐんぐんのびなさいって。」
「うん、そうだな。でもな、小さくてもせがひくくても、いいところはあるとおもうぞ。きみたちは、子どもだから、おとなより小さいし、せがひくい。それでも、きみたち子どもにも、いいところはあるんだからな。」
そういわれて、かぼちゃんもねぎくんも、ハッとして、うなずきました。
「それにな。まめたとまめこは、だいずだから、きみたちとはちがうんだ。だいずには、だいずのよさがある。」
「先生、だいずのよさって、なんですか。」
まめたは、先生をみつめてたずねました。
だいずのいいところ
「うん、それはな。いろいろなものにへんしんできることだな。」
「えっ、へんしん?どんなものにへんしんできるんですか。おしえてください。」
しりたくてたまらなくなりました。
「じゃあ、先生のうちにおいで。いいものをみせてあげよう。かぼちゃんとねぎくんも、いっしょにくるかい。」
こうして、みんなそろって、こうちょう先生のうちへむかいました。とちゅうで、先生は、みんなにたずねました。
「きみたちは、せつぶんのまめまきをしっているかい。」
だれも、しらないようでした。
「春になる前の日、せつぶんに、『おにはそと、ふくはうち』といって、まめをまくむかしからのならわしだよ。そのまめが、だいずだ。わるいものをおいはらって、よいことがあるように、やくだっているんだよ。」
まめたとまめこは、目をかがやかせました。
へんしん、したい
こうちょう先生は、うちにつくと、れいぞうこをあけました。
「ほら、これだ。わしがだいすきなとうふ。それに、なっとう。おから。とうにゅう。これらはみんな、だいずからできているんだ。けんこうにとってもいいんだよ。」
「えー、ほんとうですか。ぼくたち、あんなふうになれるんですか。」
「おどろくのは、まだ早いぞ。テーブルの上にあるしょうゆ。これもだいずからできている。みそしるにつかうみそも、そうだ。」
みんなは、びっくりしました。
「それからな。もちやだんごにかけるきなこ。これも、だいずからできている。うちのかあさんも、だいすきなんだよ。」
「なんだか、ぼく、うれしいな。」
「わたしも……。」
「まあ、こんなふうにへんしんするには、こなになったり、みずにひたされたり、ほかのものとかけまぜあわせたり、いろいろとめんどうなことはあるんだけどな。」
「ぼく、へっちゃらです。みんなによろこんでもらえるなら、へんしんしてみたいです。」
「わたしも、へんしんしたい!」
「おれ、まめたとまめこをみなおしたよ。」
かぼちゃんが、てれくさそうにいいました。
「まめた、まめこ、すごい!かっこいいよ。」
ねぎくんは、さわやかなこえでいいました。
まめこもこうちょう先生も、うれしそうです。まめたは、じぶんがしょうらいなにになれるか、とてもたのしみになってきました。
参照:
松本春野著『まほうのおまめ』(文藝春秋社)・小学三年生教科書『国語三下』(光村図書)収録の国分牧衛著「すがたをかえる大豆」。辰巳芳子さんたちが提唱し実施されている「大豆100粒運動」など。