この記事は『生産性新聞』「一言」欄に、4回わたって連載されたエッセーの1つです。
『生産性新聞』は1956年の創刊以来、公益財団法人日本生産性本部の生産性運動の広報紙として、「生産性」「経営」「労働」をキーワードに、タイムリーな記事を提供している新聞です。
さまざまな経営課題をめぐる記事も充実しています。
小さな事こそ大事
世の中で、良い仕事のできる人、偉大なことを達成できる人は、日々の小さなことを決してなおざりにしない。
経営の神様、松下幸之助氏は言った。
「仕事には知恵も大事、才能も大事。しかし、もっと大事なことは、些細なこと、平凡なことも、おろそかにしない心がけである。むずかしいことはできても、平凡なことはできないというのは、ほんとうの仕事をする姿ではない」
大リーガー、イチロー選手も試合中だけでなく、日々の練習、道具の手入れ、体調管理など小さなことを怠らない。
「夢をつかむことは、一気にはできません。小さなことを積み重ねることで、いつの日か、信じられないような力を出せるようになっていきます」
と言う。
私たちが日々行う仕事も、ほとんど小さなこと、目立たないものかもしれない。が、その小さなことの連続が大きな夢の実現につながる。また、大きな信頼につながるのである。
小さな事に心をこめる
今年、生誕百年を迎えるマザー・テレサは、ノーベル平和賞に値する偉大な仕事を成し遂げた人だった。
彼女は自分たちの仕事は、「大海の一滴に過ぎない」と言った。しかし、その「一滴」に精一杯の愛をこめて行ってきたのである。
「大切なのはどれだけたくさんのことをしたかではなく、どれだけ心をこめたかです」
マザー・テレサのこの言葉を私たちも自分の仕事にあてはめられないだろうか。
物を作る、物を売る、人にサービスを提供する、など。日々の仕事に心をこめて、人の幸せを願いながらすることで、より人から喜ばれ、より働き甲斐が生まれてくる。
そのような仕事は、外見上は小さなことの積み重ねであっても、必ずや大きな価値をもつようになるのである。
『生産性新聞』2011年12月25日より