いい本

『もうひとりのはかせ』(ヴァン・ダイク)

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『もうひとりのはかせ』

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いま、長崎では雪がふっています。
もうすぐクリスマスです。

わたしは、子どもの頃、クリスマスというのは、ケーキを食べて、サンタさんからプレゼントがもらえる日だとずっーと思っていました。

まっ、いまでもやはり頑なにそう信じていますが・・・(笑)

でも、実は、それだけでなく、「クリスマス」ってイエス・キリストの誕生日だったんですね。

今日は、そのクリスマスにまつわるお話をします。

イエス様が洞窟のような馬小屋で生まれたのは、ご存じですね。

「救い主がお生まれになった」

天使のお告げがあり、天にひときわ輝く大きな星が現れます。

はじめに、付近の羊飼いたちが、その星に導かれて、生まれたばかりのイエス様を一目見ようとやってきます。

その後、はるか遠国から三人の博士たちが、黄金・乳香・没薬の贈り物をもってやってきます。(聖書には三人とは書いていませんが、贈り物が三つだったことから三人だと伝承されています)

ところで、実はもう一人、四人目の博士がいたという設定で、アメリカの牧師で作家のヘンリー・ヴァン・ダイク(Henry Jackson van Dyke, 1852年-1933年)が見事な物語を作りました。

この四人目の博士は、他の博士たちとの約束の時間に遅刻をしてしまったのです。

今日は、その四人目の博士のお話です。

・・・・・・・・・・・・・・

彼は旅にでる前、友人たちを誘いました。

「私は、これから旅にでる。友達の三人の博士たちと一緒に、救い主のお生まれを確かめて礼拝して来るのだ。長く厳しい旅になるかも知れない。それでもよければ、私と一緒に行く人はいませんか」

誰も行く人はいませんでした。

彼は長年住み慣れた家を売りました。
そして、できるだけお金を集めて、救い主への捧げ物として三つの宝石を買いました。

そして、他の博士たちとの約束の時間に間に合うように、馬を走らせたのです。

ところが、途中のある村を通るとき、重い病気で死にかかっている人を見かけました。

その村では、悪い病気がはやっていたのです。

「急がなければ、約束の時間に遅れる・・・」

一度は通り過ぎましたが、彼は心に引っかかるものがありました。

そして、引き返して病人の応急の手当をしてあげました。
病人はとても喜んでくれました。

病人に笑顔が戻ったのを見届けると、彼はまた急いで馬を走らせました。

しかし、ずっと待ちつづけていた三人の博士たちは、手紙を書き残して、馬をラクダに変えて、すでに砂漠の旅に出発したあとだったのです。

彼は一つ目の宝石を売り、大きな町に引き返して馬や食料を買い、一人で砂漠の旅をしなければなりませんでした。

イエス様が生まれた町ベツレヘムにようやく辿りついた時は、もう三日も遅れていました。

町には、誰一人外に出ていません。
うすきみ悪いほど静かでした。

なぜでしょうか。

イエス様が生まれた事を知ったヘロデ王は、ベツレヘムで生まれた二才以下の子どもたちをみんな殺せと命令し、兵隊たちがやってきていたからです。

どの家も、息を殺したように、ひっそりと静まり返っています。

「ごめんください。ごめんください。お生まれになった救い主を知りませんか」

彼の心細い声に、ある家の主人がそっと顔をのぞかせて教えてくれました。

「イエス様は、もうこの村にはいらっしゃいません。マリア様とヨゼフ様といっしょに夜の間にひっそりとエジプトの方に逃れたのです」

そのときです。
突然に、赤ちゃんの泣き声がしました。
それは、その家の主人たちが隠していた赤ちゃんの声でした。

その声を聞きつけた兵隊がやって来ました。

「いまのは赤ん坊の声だろう。赤ん坊を出せ!」

主人もお母さんも顔が真っ青になりました。

「赤ちゃんはいません。どうか助けて下さい」

お母さんは、床にひれ伏してお願いしました。

他の兵隊たちが集まって来ました。
隊長も来ました。

もはや、絶体絶命です。

このとき、彼は、イエス様に捧げるために持ってきた二つ目の宝石をとりだし、隊長の手に握らせて言いました。

「この家には赤ちゃんはいません。どうか他の所を探して下さい」

隊長は宝石をにぎりしめ、にんまりとすると、部下たちに他の所を探せと命令しました。

赤ちゃんは無事でした。
お母さんはどんなに喜んだことでしょう。

遅れてきた博士は、イエス様に巡り会うことはできませんでした。

でも、これでよかったのだと思いました。

助かった病人の喜び・・・
殺されかかった赤ちやんとそのお母さたちの喜び・・・

それらは、神様の喜びにもなります。

彼が困っている人のためにしたおこないは、神様の目にとって、宝石よりも輝く尊い宝物だったのですから。

 クリスマスには、与えることで喜び合おう。

PS.上の記事をメルマガに書いたのが2005年12月19日でしたが、2018年のクリスマス前にお陰様で念願かなって、この物語の絵本を発行できました。

『もうひとりのはかせ 』
ヴァン・ダイク (原作), 中井 俊已 (著), おむら まりこ (絵)

私にとって神様からの最高のクリスマスプレゼントとなりました。応援、ありがとうございました。

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