いい話

いのち短し恋せよ少女(映画「生きる」)

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いのち短し恋せよ少女

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いのち短し 恋せよ少女(おとめ)
朱(あか)き唇 褪(あ)せぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものを

吉井勇作詞・中山晋平作曲 「ゴンドラの唄」

日本映画史に輝く、黒澤明監督の名画「生きる」、ご覧になったことありますか?

今日の言葉は、その「生きる」に二度出てきます。

では、映画のあらすじを短くご紹介しましょう。

まず、映画の前半。

役所に30年間無欠勤の模範的な役人、渡辺課長(志村喬)がある日、不治の病(胃がん)を知らされます。

あと、半年のいのち・・・。

死を意識しだした彼は、事なかれ主義で過ごしてきた役人生活がすべて無意味に思えてきて悩むのです。

心底、生きがいが持てるものを捜し、初めて歓楽街をめぐるが、心の空白を埋めるものは、何もありません。

その夜、彼は一つ覚えのこの「ゴンドラの唄」をカフェで歌うのです。

「いのち短し恋せよ少女・・・」

次の日(だったか)、無断欠勤した彼は、偶然に若くて明るい元部下の女子事務員と出会います。

彼女はいまおもちゃ工場で、生き生きと働いているのを知ります。

自分の作ったおもちゃが、子どもたちを喜ばせるのを考えて嬉しくなるのだというのです。

自分も、死ぬまでに何かしたい。
しかし、何をすればいいのか?

彼女を問い詰めるなかで、彼は、ハッと気づくのです。

人のために自分も精一杯何かができる!

ここでそっけないナレーションが彼の死を告げます。

映画の後半は、お通夜の席。

渡辺課長の最後の半年間の豹変ぶりが話題になります。

列席していた人々の回想話から、彼がその半年間にしたことが少しずつ明らかにされるのです。

それは、児童公園の建設という住民の要望を誠心誠意、いかなる困難にもめげず、死にもの狂いで実現することでした。

彼を最後に目撃した巡査が報告します。

小雪の舞う夜、完成したばかりの公園のブランコに身をまかせ、彼が幸せそうに歌っていたというのです。

あの「ゴンドラの唄」を・・・。

「いのち短し恋せよ少女・・・」

人生は短い、今を精一杯生きよう。