いい習慣

捨てることで新しくする(樋口広太郎)

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捨てることで新しくする

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新しく何かを始めたい、新しい自分に生まれ変わりたい、という人のために、樋口広太郎さんの話をします。

樋口広太郎さんは、アサヒビールを立て直した人です。

樋口さんは、同系列の住友銀行副頭取から、当時業績が落ち込み夕日ビールとまで揶揄されたアサヒビール株式会社の社長になりました。

社長となる3ヵ月前、顧問に就任した樋口さんのやったことは前代未聞でした。

日本全国の特約店、販売店を尋ね歩き、日ごろお世話になっている流通業者の意見を自分の耳で聞き回ったのです。

交換した名刺は2ヵ月で、2500枚にものぼりました。

流通業者のアサヒビールに対する指摘や意見は厳しいものでした。

「アサヒビールは人気がない。人気がないから売れない。売れないから古くなる。古くなたビールはおいしくない。おいしくないから人気がない。まさに悪循環を繰り返している」

この指摘を謙虚に受けとめた樋口さんは「お客さまには、おいしいビールしか飲んでいただかない」と決意します。

そこで、また前代未聞の思い切ったことを断行します。
旧ラベルの古いビールを撤回してすべて捨てさせたのでした。

日本全国、全部。恐らく数千万円の大損です。

しかし、お客さまに古くて味の落ちたものを飲んでくださいと販売店に売らせている現状を樋口さんには、これはどう考えてもメーカーの独善としか思えませんでした。

「お客さまに最も質のよいおいしいビールを飲んでいただく」

この志を貫かねば、悪循環から抜け出ることはできない、そう考えたのです。

その後、その志から、業界ではまったく新しい味のアサヒスパードライを開発し、会社の業績は飛躍的に伸びていきます。

それは、古いものを自腹を切ってでも捨てる、樋口さんの経営姿勢から生まれたのです。

新しいことを始めるには、古いものを思いきって捨てなければなりません。

中途半端では甘えが生じます。

勇気をもって捨てることで、絶対にいいもの、新しいものを生み出そうというエネルギーが生まれてくるのです。

卒業、進学、退職、転職のシーズンであればなおさら、新しく何かを始めたいという方もいらっしゃるでしょう。

そのためには、思い切って古い何かと決別することも必要です。

決別するのは、古い自分の習慣です。

自分のよくない習慣をやめ、新しい自分を築き上げていくのです。

たとえば、次のようなこと

・自分の部屋の中に溜まってきた物を見直して、ほとんど使っていない物なら、捨てる!(人にあげる)

・自分のスケジュールを見直して、時間のムダになっているような習慣をやめる!(そのかわり、その時間に新しいことを始める)

・人を不愉快にさせる言動のクセはないか、チェックして、見つかれば以後、やめる!(そのかわり、逆に人に喜んでもらえる言動のクセをつける)

古い自分の習慣(殻)を捨てることで、人は新しく生まれ変わることができます。

捨てることで新しくなろう。