小説など

『君と会えたから…』( 喜多川泰)1つの手段がダメでも目的をあきらめない

先日、ある少年に本を薦めました。

その少年は、18歳。理由あって高校を中退し、自宅にいます。

もともと抜群に頭が良く、極めて真面目な子なので、大検には難なくパスしました。が、自分の進路に悩んでいます。

私が彼に読んでほしいと薦めた本は、喜多川泰著『君と会えたから……』という物語です。

この本のラストには、感動的な秘密が明かされるので、すべては語れませんが、だいたいこういうストーリです。

『君と会えたから……』のストーリー

主人公の僕は、平凡な高校生のヨウスケ。

将来に対する漠然とした不安を抱えながら、自分のやりたいことも見つけられずに毎日を無気力に過ごしていました。

ある夏の日、同じ歳の美しい女の子と出会ったことで、ヨウスケは変わっていきます。

ヨウスケは、その少女ハルカを通して、その後の彼の人生を変える七つの教えを聞くことになるのです。

それは、彼女が父親から教わったという「自分しかできない素晴らしい人生を送る方法」でした。

夏の終わり、いつしかハルカに恋心を募らせていたヨウスケに、彼女が隠していた秘密が明らかにされていきます。

その後、ヨウスケは、次第に人生の成功を勝ち得ていく人になっていきます。

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目的は1つでも手段はいくつもある

この本の中に素晴らしい言葉が、いくつも出てきます。

いま、たまたま開いたページ(P.116)にこんな言葉がありました。

「飛行機に乗れないからといって目的地に行くこと自体を諦めるな!」

説明すると、こういうことです。

目的は一つでも、手段は一つではありえません。

一番早く行けそうな飛行機に乗れなかったからといって、目的地に行けないわけではないのです。

目の前に海が横たわっていれば、船に乗ればいいのです。

陸を行くのなら、列車でもいいし、バスでも行けるのです

時間はかかるけれど、自転車でも、歩いてでも、(車椅子でも)進むことはできるのです。

目的地に行きたい!という情熱と行動力さえあれば、そこに行けます。

手段は一つではありません。

あきらめないで行動すれば、手段は見つかるのです。

ですから、「飛行機に乗れないからといって目的地に行くこと自体を諦めるな!」という言葉は、

一番楽そうな手段がダメでも、あきらめるな。情熱をもって行動し、たとえ遅々とした歩みであっても目的地に向かってあきらめずに進もう!

ということを伝えているのだと思います。

職業や仕事は目的か?手段か?

これに関連したことで、さらに面白いのは、この本のなかで、

「プロ野球選手」=「飛行機」

と、ハルカがヨウスケに教えることです。

つまり、「プロ野球選手」という職業も手段なのだとハルカは言うのです。

私も職業は、手段だと考えてます。

たとえば、ある人は、「教師になりたい」という夢をもっています。

しかし、一旦その職業に就いてしまえば、その職業は、目的ではなくなります。

その職業に就いている人にとっては、その先に目的があれば、職業は手段なのです。

では、その先にある目的とはどういうものでしょうか。

たとえば、現在「教師」である人が、「この職業を通して人を幸せにしたい」という考えて仕事をしているとします。

その人にとって、それが目的です。

であれば、「教師」という職業は、「この職業を通して人を幸せにしたい」という自分の目的を叶えるための素晴らしい手段なのです。

もちろん手段は大切ですが、それよりも目的の方が優先されるべきだと私は考えています。

「何のために、その職に就くのか」

という目的を明確にもっている人。

「この仕事を通して人を幸せにしたい」

と考えている人ならなおさら、どんな職業に就いていても、その目的を達成するためにきっと素晴らしい仕事をするでしょう。

そして、その仕事を通して、自分も人も輝かせ、幸せを味わい幸せを与える、そんな人になることができる人と私は信じています。

目的を明確にもとう。

すると、手段と可能性が増えてきます。(^.^)

出典:喜多川泰著『君と会えたから…』(ディスカヴァー・トゥエンティワン )