絵本って、すごくいいものです。
絵本は、短い洗練された言葉と絵で、一つの世界を作り上げ、短時間で、その世界に連れて行ってくれます。
絵本って、小さな子どもが読むものだとずっと思っていました。
でも本当は、子どもだけのものではなかったのです。
絵本の良さは年齢や世代を超える
ノンフィクション作家の柳田邦夫さんも言われています。
「絵本という表現ジャンルは、実は子どもだけのものではなく、年齢や世代を超えて共有できるものなのだ。
ユーモア、機智、悲しみ、別れ、思いやり、心のつながり、支えあい、愛、心の持ち方、生き方など、人間として生きていく上で、大事なものを、深く考えさせられる。」
柳田邦夫著『大人が絵本に涙する時』
だから、「大人こそ絵本を読もう」と柳田さんは言われます。
大人には現実の世界に疲れることがたくさんあるものです。
そんなとき絵本を読むことで、現実の世界でまた前向きに生きる力を得るのです。
さて、今日ご紹介する絵本は、宮西達也という人の絵本です。
宮西達也さんの絵本
『ぼくにもそのあいをください』
ユーモラスな絵で描かれた恐竜のお話です。
「この世の中は力があるものが勝ち。力の強いものが一番なんだ」
そう信じていたティラノサウルスがいました。
月日が経ち、年をとったティラノサウルスは、その力を失っていきます。
そしてある日、トリケラトプスの子どもに出会って、気づくのです。
「その子どもを寄こせ」
という他の恐竜たちの攻撃に傷つきながら、命賭けで守り抜きます。
「おれは、やっとわかったんだ・・・。おぼえてほしい。
大切なのは力が強いことじゃないんだ。一番、大切なことは・・・」
ティラノサウルスは、この後の言葉を最後まで言えませんでした。
でも、年月が経ちトリケラトプスの子どもが、お父さんになったとき、自分の子どもたちを同じように他の恐竜から守った後、言うのです。
「いいかい、力よりも、もっともっと強いもの、大切なものがあるだ。そそれは、・・・」
宮西達也さんの恐竜シリーズは、他にも
『おまえうまそうだな』
があります。これにも感動しました。
ある時、おなかをすかせた大きな恐竜が、赤ちゃん恐竜を見つけてとびかかろうとします。
でも、あかちゃん恐竜は、その恐竜をお父さんと信じこんでしまいます。
そこから始まる、「お父さん」恐竜と赤ちゃん恐竜の温かでドキドキする交流・・・
「うわー、すごい!ぼくも はやく おとうさんみたいになりたいなあ・・・・」
とお父さん恐竜を尊敬する赤ちゃん恐竜。
しかし、ふたりは本当の親子ではありません。
いずれ別れなければならないのです。
「もうおまえには教えることがなくなった。だから、今日でお別れだ」
お父さん恐竜がそう言うと赤ちゃん恐竜は、ボロボロ涙を流しながら言いました。
「いやだ!いやだ!
ぜったい いやだ!
ぼく、おとうさんみたいになりたいんだ。
おとうさんとぜったい いっしょにいる」
でも、お父さん恐竜は、一緒に生活できないのを知っています。
そこで、泣く泣くお父さん恐竜がとった方法は・・・。
この2つの絵本は、面白くて、ドキドキして、最後にはジーンとして、涙が出ます。
そして、温かな気持ちになっている自分に気づきます。
絵本を読もう。
あなたに素晴らしいものを贈ってくれます。 (^.^)
出典:宮西達也作『ぼくにもその愛をください』『おまえうまそうだな』
●「絵本という表現ジャンルは、実は子どもだけのものではなく、年齢や世代を超えて共有できるものなのだ。」柳田邦夫著『大人が絵本に涙する時』より
●「絵本を読むことで、現実の世界で前向きに生きる力を得る」by中井