いい考え方

「何のために?」仕事の目的に悩んだ時、解決のヒントになるいい話

「みなさんが周りの人から信頼され、必要とされ、『あの人とだったら一緒に働きたい』と思ってもらえるような、そんな人になること、それが、みなさんの『幸せ』だと思っているんです。」

このような願いから生まれた授業をもとに人気メルマガが生まれ、そのメルマガをもとにした本が誕生しました。

『私が一番受けたいココロの授業』(ごま書房新社)です。
著者は、ウエジョビ(上田情報ビジネス専門学校)の比田井和孝先生と比田井美恵先生。

同校の就職対策の授業で比田井和孝先生が授業されたことを奥様の比田井美恵先生がビデオを観てメルマガにし、それが大評判となり、本になったのです。

心を素直にして、「自分を変えよう!」「自分を成長させよう!」、本気でそう考えて、実行すれば、必ずや得るものがあるでしょう。

では、ひとつだけ、この本に紹介されていた話を要約してご紹介しましょう。

仕事の目的が違った二人の10年後

アメリカの鉄道会社の社長があるとき、修理現場で一人の作業員に話しかけられました。

「久しぶりだね!君もずいぶん出世したものだね」

その作業員は、約10年前に、社長と一緒に働いていた友人でした。

その友人は言いました。

「10年前は一緒に、50ドルの日給をもらうために働いていたのにね。君も変わったね」

社長は答えました。

「・・・そうだったのか。君は50ドルをもらうために働いていたのか。

 私は、10年前も今も、この会社のために、そして、世の中の人に快適な旅をしてもらうために働いているんだ」

この話のいわんとしていることは、意義深いですね。

一方の男性は、10年前と同じ仕事をしています。
他方男性は、社長になっています。

もともと同僚だった二人は、10年後に地位の差が歴然としてしまいました。

この違いがなぜ生まれたのか?

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二人の考え方の違い

その答えは、二人の内面(考え方)の違いにあります。

著者の比田井さんは、この二人の違いは、

「もらおう」として働いているか、
「与えよう」として働いているのかの違いだと説明されます。

「もらおう」として働いている人は、自分の利益を優先しています。

将来の自分の楽を求めているのかもしれません。

「与えよう」として働いている人は、人の利益を優先しています。

人を楽にしてあげたいと願っているのかもしれません。

  • 人が見ていないところでもさぼらず、心をこめて、一所懸命働くのはどちらの人か?
  • もしも、あなたが上司なら、どちらの人を信頼するか?
  • もしも、あなたが同僚なら、どちらの人の一緒に働きたいか?
  • まわりの人から信頼され、感謝されるのはどちらの人か?
  • 出世してもしなくても、仕事をしていくうえで幸せなのはどちらの人か?
  • より豊かな人生を生きているのはどちらの人か?

そんなことをじっくり考えてみる価値があると思います。

三人の労働者の目的の違い

私はこの話を読んで、次の話を思い出しました。

 ヨーロッパのある建築現場で同じ作業をしている労働者たちがいました。
ある人が、一人の労働者に尋ねました。

「あなたは何をしているのですか」

すると、その人は不機嫌そうに言いました。
「見てわからんのか。レンガを積んでいるんだ」

この人は、ただ言われたことを機械的にしていたのかもしれません。

次に、別の人に同じことを聞いてみました。
「あなたは何をしているのですか」
すると、その人は疲れた表情で答えました。

「家族を養うために金をかせいでいるんだよ」
仕事はきつく、報酬はそれに見合ったものではなかったのかもしれません。

しかし、同じ仕事をしているのに活き活きと働いている人がいました。

最後にその人に尋ねてみました。
「あなたは何をしているんですか」

すると、その労働者はニコニコしながら答えました。
「みんなのために大聖堂を造っているのですよ」

拙著『幸せに気づく』(PHP研究所)

仕事には楽しいばかりではなく、単調かつ退屈で面白くもないものもあります。

一番目の労働者のように、毎日の仕事が好きになれない人もいるでしょう。

仕事は収入を手段でもありますが、それだけではむなしいものです。
二番目の労働者のように、生活費をかせぐためだけであれば、やりがいも少ないでしょう。

しかし仕事は本来、人の役に立ち、人を幸福にしていくものなのです。

三番目の労働者は、仕事をそういうふうに考え、行っていました。

もちろん彼も、仕事を辛いと感じるときがあるでしょう。
家族を養うために収入を得なければならないと考えて働くでしょう。

しかし、彼は同時に多くの人が喜ぶ姿を思い浮かべて働いていたのです。

自分の並べるレンガの一つ一つがいずれ大聖堂となる。
その聖堂にたくさんの人がやってきて、幸福な時間を過ごす。
それは、何十年も何百年も続く。

そのためのレンガをいま自分は運び、一つ一つ積んでいるのだ、と。
そのような仕事は、人を幸せにし、自分自身を幸せにする道となるのです。

たとえ目立たない、ありふれた仕事であっても、愛から生まれ、愛に向かうものであれば、価値あるものになっていきます。

「仕事は幸せになる道です」

実は、この考えは、ずいぶん前に、スペインのある聖人(聖ホセマリア・エスクリバー)から教えていただいたことです。

彼は、このメッセージを若いときに神様から教えてもらったと言います。

「仕事は幸せになる道です」

このメッセージを世界中の人に伝えるのが彼の仕事であり夢でした。

そして、私にも届き、いまも私を支えています。

この考えを、短い詩にして、お伝えします。

 仕事は幸せになる道

あなたは、生まれながらに素晴らしい能力をもっています。
その能力は、仕事をし続けることでさらに高められるでしょう。

あなたは、生まれながらに素晴らしい心をもっています。
その心は、仕事をし続けることでさらに光輝くでしょう。

仕事は「仕える事」と書き、幸せは「仕合せ」とも書きます。
仕え合ってこそ、私たちは幸福になることができます。

あなたは、生まれながらに人を幸福にできる力をもっています。
あなたは、仕事を通して、人と自分を幸福にすることができます。

ときにはだれでも、
自分の意にそぐわない仕事をしなければならないことがあります。

でも、そういう仕事もあなたを人間として成長させてくれるのです。

ときには、自分と合わない人と仕事で
付き合わなくてはならないことがあります。

でも、そういう人もあなたを成長させてくれるのです。

仕事は、人間修行の場です。
仕事を通して、自分を磨き、高めていけることは、
なんとありがたいことでしょう。

仕事を通して、だれか一人のために役立つのなら、
なんとありがたいことでしょう。

辛いとき、苦しいとき、悔しいとき、
とてもそう思えないかもしれません。

でも、そんなときも誰にも見えないところで根を張り、
ぐんぐん成長しているのです。

いつかあなたが美しい花を咲かせ、立派な実を結ぶために……。

あなたは、生まれながらに人を幸福にできる力をもっています。
あなたは、仕事を通して、人と自分を幸福にすることができるのです。

仕事を通して、人を幸せにすることを考えよう。

すると、仕事を通して自分も幸せになれます。(^.^)

出典:比田井 和孝・比田井 美恵 著『私が一番受けたいココロの授業』(ごま書房新社)拙著『幸せに気づく』(PHP研究所)

★聖ホセマリア・エスクリバーについて書いた記事です。