▼子どものための絵本なのに、大人が読んでも感動するものがあります。
私は講演のときに、絵本を読み聞かせをさせていただくことがあります。
その前に、次のようなことを言うことがあります。
「本を読むことは、人を成長させます。そして、いい本を読めば人を幸せに導きます。
まだ本が読めない子どもには、大人が絵本を読んであげるといいですよ。
子どもは読み聞かせが大好きです。
読み聞かせをするとき、親子はともに同じ時間を生きることができます。
このとき、子どもは親の愛情を感じることができるんです。
読み聞かせっていいものですよ。
では、読み聞かせの良さを味わっていただくために、今日は私が皆さんに読み聞かせをさせていただきましょう。」
▼そんなことを言って、読み聞かせを聞いていただくわけです。
その絵本に感動して、中には泣かれる方もいらっしゃいます。
なぜ泣かれるのでしょう。
その絵本に、人を感動させる力があるからだと思います。
絵本には人の心を素直にし、心を揺さぶる力が確かにあるのです。
私は絵本を読む度に、そう感じます。
▼そんな絵本の魅力を使って、大人を対象にして「絵本セラピー」を展開していらっしゃる方がいます。絵本セラピストの岡田達信さん。
岡田さんは、お子さんのために絵本を読み聞かせたことがきっかけで、次第に絵本の魅力に夢中になります。
当時、大企業で人材教育に取り組んでいらっしゃた岡田さんは、心理カウンセリングなど専門知識の習得にも努め、絵本を使ったプログラムとして「絵本セラピー」を考案。
2009年 絵本セラピスト協会設立し、「大人のための絵本セラピー」普及活動を全国で展開中です。
▼岡田さんは、以前、私の講演会に来てくださったことがあります。
お会いしたことはありませんでしたし、お顔も知りませんでしたが、事前に、「参加します」というメールをいただいていました。
会場には300人くらいの方がいましたが、「あの人、すごく一所懸命、楽しそうに話を聴いてくれているなあ」という人がいらっしゃいました。その人が、岡田達信さんでした。
たぶん岡田さんは絵本を読むときも、自分で働きかけながら読まれているのです。
▼絵本は、子どもだけのものではないと私も考えています。
大人が読んでも、何かを気づかせてくれます。
大人が読んでも、心を動かされます。
あるときは癒され、あるときは元気づけられます。
▼岡田さんは、おっしゃいます。
「絵本は何も押しつけない。
絵本が何かを教えてくれるわけではない。
だけど絵本は素敵なセラピストなのかもしれない。
いつでもそばに寄り添って、自分で気づくまで黙って話を聞いてくれる」
そうかもしれません。
きっとそうです。
自分が気に入った絵本は、自分にぴったりのセラピスト。
だから、あなたの心をやさしく癒し、元気づけることができるのです。
自分のためにも絵本をじっくり読もう。
心がおだやかになり、元気になります。(^.^)
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【出典】岡田達信 著『大人のための絵本セラピー 絵本はこころの処方箋』
この本は、絵本セラピー誕生の経緯を5冊の絵本を通して紹介。さらに、紙上での絵本セラピーが体験でき、岡田さんが選んだ50冊の絵本が「心のくすり箱」として収録されています。著者のお人柄同様に、やさしさにあふれた本ですよ。