いい考え方

むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく

 

むずかしいことをやさしく

やさしいことをふかく

ふかいことをおもしろく

これは、日本を代表する作家・劇作家であった、故・井上ひさしさんが創作の信条とされていたことです。

井上ひさしさんと言えば、子どもの頃に見た、NHKテレビの『ひょっこりひょうたん島』、それから、馬場のぼるさんの絵本を脚本化した劇『十一ぴきのネコ』などを私は思い出します。

ご存じないかもしれませんが、『十一ぴきのネコ』は、確か5000回以上は上演されている大人気のミュージカルです。

お金がない、財布がない、着物もない、お家もない、・・・

 みっともない、なさけない、いつまでいっても切りがない(笑)

 そんな、ないないずくしの野良ネコたちには素敵な仲間がいる!

 そして、いつの日か大きな魚をつかまえて、
 お腹いっぱいになるという夢がある!

そんな十一ぴきネコたちが、ワイワイ言いながら、大きな魚をつかまえるために、冒険の旅に出るという愉快なストーリーの劇です。

本来は3時間くらいの劇ですが、私は教師のとき、この劇をもとに20分くらいの短い劇を創り、小学1年生といっしょに上演させていただきました。

むちゃくちゃ楽しくて、好評でした。

何度もリバイバルし、私が学校を去った後も、他の教員が続けてやっているようです。

この劇は、井上ひさしさんの原作がすごくいいのです。

言葉(せりふ)がやさしくて、ふかい。

そして、ふかくて、おもしろいのです。

だから子どもから大人まで楽しめて、感動を味わえるのです。

▼そんな子どもや大人まで幅広い層を楽しませる言葉の達人であった井上 ひさしさんの本が出されたので読んでみました。

NHKBS番組「100年インタビュー」を単行本化した井上 ひさし著『ふかいことをおもしろく―創作の原点』です。

▼この本で、特におもしろかったのは、子どもの頃の井上さんの人生計画(夢)です。

井上さんは、5歳で父と死別、児童養護施設に預けられ、施設から高校に通学することになるのですが、ひそかに人生計画を立てます。

それが、実にユニークなのです。

どんな人生計画かと言いますと・・・

まず、街でお金持ちの財布を拾う。(笑)

それを届けてあげて感謝される。

そして、そのお金持ちの娘と結婚して・・・

というような、ハチャメチャな計画。(笑)

しかも、その計画を実行するために、井上さんは、財布を拾うために、本当に街を探し回るのです。

もちろん見つかるはずなど、ないのですが・・・(笑)

▼ないないづくしのお腹をすかせた少年が、大きな夢を見て歩き回る様は、まるで「十一ぴきのネコ」みたい。

たぶん、このときの思いや経験が、後の「十一ぴきのネコ」のモチーフとなったんだろうなーと、私は考えています。

▼追いかける夢は、いま、思い通りには叶わないかもしれません。

でも、夢見て行動することは、無駄にはならない。

きっと、いつか、どこかで花開く。

私はそう思います。

井上さん、やさしくて、ふかくて、おもしろい作品を、どうもありがとうございました。

「やさしく、ふかく、おもしろく」を私も心がけます。 (^.^)

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【出典】井上 ひさし (著) 『ふかいことをおもしろく―創作の原点』

井上さんのお話を若者向けに編集したとても良い本です。