いい話

人生は楽しむためにある(一人息子と死別したNさんの話)

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人生は楽しむためにある

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▼Nさんは、大切な息子をスキー事故で亡くしました。

若いときに大恋愛をして、実家との縁まで切って結婚し、その後、離婚してしまった夫との間に生まれた、ただ一人の子、利夫くんです。

Nさんが一生懸命に働いて育て、幸い、利夫くんは、豊かな才能に恵まれ、素直な優しい子として育っていきました。

東大を卒業し、ハーバード大学からケンブリッジ大学に移り、さらに勉強を続けていました。

利夫くんは、どこにいても、毎日のようにお母さんに手紙を書いてくれていたそうです。

▼ところが、スイスでおこなわれたスキーの大学対抗試合に出場していた利夫くんは、突然、心臓麻痺を起こして、世を去ってしまったのです。

誰にでも親切で優しかった彼の早すぎる死を、多くの人が悼みました。

無論、Nさんの悼みは誰よりも深いものでした。

Nさんは、その後、一年間、息子のために買った大きな家に一人きりで、誰にも会わずに暮らしました。

生きる意味も希望も、すべて失ってしまったと感じていたのです。

▼一年後、息子の死以来、初めて鏡を見ました。

廃屋のような家に、幽霊のような自分の姿を見て、Nさんは、ハッとしました。

これではダメだと感じます。

そして、利夫がいなくても、自分は利夫の母として、生きていこうと決意します。

▼一週間がかりで家を大掃除し、庭の雑草を抜き、美容院に行って、荒れた髪をセットしてもらいました。

家に明るさが戻ると、次第に、人が訪ねてくるようになりました。

はじめはNさんを見舞ってくれるのですが、逆にNさんが訪問客の悩みを聴いてあげることになりました。

訪れる人は、最初みんな同じことを聞きました。

「あんな優秀なお子さんを亡くされて、よく、こんなに明るくしていらっしゃいますね」

▼Nさんはこう答えるのでした。

「生きるということは、『遊び』ですよ。

一瞬、一瞬を楽しむために、人は生きていると私は思うのです。

私はいつもゲームをしているのです。

いやなことや苦しいこと、つらいことにぶつかるたびに、それをプラスに変えてしまうゲームをするのです」

「息子のことは、悲しめば、私の命取りになるでしょうが、息子の死によって、こんなにも大勢の方々と親しくしていただけるようになったのです。

不幸という形で何かが私に近づいて来る時、私はそれを幸福に変えてしまうことにしています」

「だから、私は、毎朝、どんなゲームが待ち受けているのだろうかと楽しくてたまりません。

私はとても自由で、そして楽しいのです。

生きていくことは、いつも楽しい挑戦ですよ。

子供の頃、没頭して遊んだあの気分ですね」

▼このお話は、ずいぶん前に読んだ、鈴木秀子著『生の幸い、命の煌き』から要約して抜粋した実話です。

最愛の一人息子の死。

一年間の悲しみの日々の後に、Nさんが悟った境地に、誰もが立てるわけではないと思います。

でも、この物語やNさんの言葉から何かを学ぶことはできるのではないでしょうか。

人生に降りかかる、辛い事や悲しい事を、プラスに変えるゲームをすること。

人生に、毎日毎日、喜びや楽しさを見出すこと。

人生に、喜びはいつも発見できます。

人生に、楽しさはいつもあるのです。

 

今日も、喜びを見つけましょう。(^.^)

【出典】鈴木秀子著『生の幸い、命の煌き』