いい話

高崎山自然動物公園の「小さな母」と出会って

 

ちいさい ちいさい人でした

ほんとに ちいさい母でした

それより ちいさいボクでした

(サトウハチロー詩集『おかあさん』より)

▼先日、前から行きたいと思っていた、高崎山自然動物公園(大分県)に行ってきました。

自然動物公園では高崎山に自然に生息しているサルを餌付けしており、一日に一度、サルの群れが交代でやってきます。

サルの数は、現在、約1300匹。

サルといえば4足歩行が普通ですが、群れの中で一匹だけ、人間と同じように2足歩行するサルがいます。

そのサルは、母親の胎内にいる頃にへその緒が両腕に絡みついて成長したため、生まれながらに両腕が使えないというハンディーがあるのです。

名前は「さやか」と言います。

さやかは、生きるだけでも、大変だったそうです。

サルたちの群れが移動するときは、赤ん坊はまだ歩行が困難なため母親の胸元にしがみつき移動するしかありません。

さやかは、お母さんにどうやってしがみついたのでしょう。

さやかのお母さんは、さやかを胸に抱きながらどうやって移動をしたのでしょう。

定かではありませんが、母子ともに大変な苦労をして、生き残り、さやかは大人になることができたのです。

▼さやかが数年前、妊娠をし、話題になったことがあります。

ハンディーを持ったさやかが、果たして子どもを出産できるのか、出産できたとしても育てられるか、ということに関心が集まり、マスコミでも取り上げられました。

実際、さやかにとっては、大変な子育てだったようです。

さやかは仲間と同じような4足歩行ができないので、ただでさえ疲れやすい。

2足歩行しながらしょっちゅう休憩し、いつも群れの最後を歩きます。

そして不自由な両手で、赤ちゃんを抱いて歩くのです。

1度目の赤ちゃんは大難産の末、生まれてすぐに亡くなったそうです。

2度目の赤ちゃんは、ゲンキ、と名づけられ立派に育ちました。

3度目の赤ちゃんは、ユウキ、と名づけられ立派に育ちました。

▼私は「さやか」に会うことができました。

2足歩行で不器用に歩く彼女は、ちいさな、本当にちいさなサルでした。

でも、子どもを立派に育てた、立派なお母さんに会ったような気がしました。

▼帰り道、私は母親という存在について考えました。

母親がいなければ、人はこの世に生まれません。

母親は無償の愛で子どもを育て、ただ子どもの幸せを願って生きているかのようです。

いつしか子どもは成長すると、母親をちいさく感じるようになります。

でも、どんなに成長しても偉くなっても、母親にとって、子どもはいつまでも子どもです。

子どもにとって、母親はいつまでも母親です。

 

母に感謝・・・  (^.^)

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【出典】サトウハチロー詩集『おかあさん』