「この先も、いくたの苦難があるかもしれないが、
あなたはそれに耐えられるだけの力を備えているはず。
あなたはこれまで随分と辛い目にあってきたのだから」
大平光代著『だから、あなたも生きぬいて』
▼大平光代さんは、中学2年のとき、いじめを苦にして割腹自殺を図りました。
中学を卒業後、16歳で極道の妻になり、その後離婚。
養父に励まされ、独学で弁護士になった人です。
彼女は、背中の刺青を消さないのだそうです。
自分の過ちを消し去るのではなく、いまもこれからも、過去から立ち上がっていこうとするからです。
そんな彼女の生きる姿勢に、いま苦しんでいる人への力強いエールが感じられます。
「絶対に自殺はしないでほしい。
死んでも地獄、運よく助かっても立ち直るまでは地獄。
あなたの今現在の苦しみや悲しみは、永遠のものではなく、いつかきっと解決する」
▼彼女は、大阪市の助役を辞任した後、先輩弁護士と再婚します。
2006年に女児を出産。
しかし、女児はダウン症、心臓疾患 および白血病と診断されます。
ダウン症の娘「悠ちゃん」、夫とともに山間の地に移り住みます。
丁寧に料理し、庭仕事に励み、自然の息吹に耳を澄ませる。
「一日一日を感謝して生きる」心の豊かさを味わうのです。
▼彼女の新刊『陽だまりの時間』には、激流に抗うように生きてきた人生の前半とは打って変わり、穏かで他者に対する愛情に満ちた大平さんの姿が見てとれます。
ただ悠ちゃんといっしょにお風呂に入ってとき、16歳のときに彫った背中の刺青を見て、悠ちゃんが「へび」と言うようになるなど、自分の過去と対峙せざるを得ないときもあります。
「背中にある過去の象徴について娘が理解できる年齢になったら、逃げずにすべてを伝えよう」
大平さんは心に決めています。
▼14歳で自殺未遂を起こして以来、「自分はあのとき死んだんだ」と思い続け、自暴自棄の生活を送ってきた彼女は、ご主人と悠ちゃんに恵まれ、心の底から感謝し、少しでも健康で長生きしなければと思うようになったといいます。
どんなに辛い目、いくたの苦難があったとしても、まわりの人の支えや自分の意思で人生は変わっていくもの。
彼女の人生は私たちにそう教えてくれています。
きっとあなたにも陽だまりのような時間が待っています。(^.^)
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【出典】大平光代著『陽だまりの時間』
大平光代著『だから、あなたも生きぬいて』