2013年10月25日、京丹後市で、「人を幸せにする魔法のことば」というテーマの講演をさせていただきました。
なんと参加者の7割くらいが高齢者でした。
私は講演のおわりに言いました。
「皆さんも、人を幸せにできる魔法の言葉をもっているんです。
いっぱい、いっぱい持っているんです。
その言葉を惜しみなく使ってください。
そして、ご家族、友人、近所の人などまわりの人を幸せにしてあげてください。どうかお願いします」
終わった後、おばあちゃん、おじいちゃんたちがいっぱいやってこられました。
70歳から80歳くらいのおばあちゃんたちから言われました。
「感動しました。ありがとうございました」
「元気をいっぱいもらいました」
「これまでの講演の中で一番良かったです」
なかには、こういうおばあちゃんも・・・(笑)
「寝ないように、一番前の席に座っておったんですが、途中寝てしまいました。すみません。でも、いいお話、ありがとうございました」
そういうおばあちゃんたちが帰っていかれるまで、30歳くらいの女性がひとりじっと待っていました。
この人は、講演中、何度もうなずき、笑い、ときどき涙ぐみ、メモをよく取っていた人です。
ああ、きっとこの人はメルマガ「心の糧」の読者さんだろうと、話しながら思っていました。
その人は何か話すか、質問したいか、そのために待っていたんです。
「私、「心の糧」の読者です。いつも読んでますよ」
そう言われるんじゃないかなと思っていました。
でも、彼女が発した言葉は、全然違いました。
「今日は、ありがとうございました。実は、父が去年、事故で両足を切断したんです」
「!」
「父を連れてくればよかったです。父に聞かせたかったです。」
「・・・」
こんなとき、
なんて言えばいいんだろう・・・
なんて言えばいいんだろう・・・
言葉が出てきませんでした。
「人を幸せにする魔法のことば」を自分も持っているはずなのに・・・
自分も持っているはずなのに・・・
言葉が出てきませんでした。
ただ、お父さんのためにと購入してくださった本にお名前つきでこう書かせていただきました。
人生は
これから
いいことが
いっぱいあります!
その女性は、
「とても喜ぶと思います。ありがとうございます」
そう言ってくれました。
彼女が帰ってから考えこみました。
あれで良かったのだろうか・・・
他に何か言いようがあったのではないだろうか・・・
私はこんな些細なことで悩みます。
実は、いまも悩んでいます。
でも、それがあるから、文書を書きたくなるだと思います。
あのとき言えなかった思いを言葉にしたくなるのです。
その言葉はとても一言で言えなくて、長くなって長くなって、それが本になるのです。
あの女性は家に帰ってお父さんにサイン・メッセージ付の本を渡すでしょう。
「お父さん、今日、この人の話を聞いてきたの。いい話だったよ。私、元気になれた。
町のおばあちゃんたちもそう言ってたよ」
そして、メモを見ながら、彼女が感動した話をお父さんに伝えてくれるでしょう。
お父さんは、うれしいに違いない。
娘が自分のために話を聞きに行ってくれて、自分に話をしてくれて・・・。
それだけで、うれしい。
人生、辛いことばかりじゃない。
こんないい娘に恵まれた自分の人生は辛いことばかりじゃない・・・。
私がお父さんなら涙がでると思います。
そして、少し生きる力が湧いてくる。
そんなふうにならないかな
そんなふうになればいいなと願っています。
人を幸せにする言葉は、身近な人の優しい心や思いやりや愛がこもると、いっそう人に力を与えるものですから・・・。
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【参照】京丹後市市役所 健康長寿福祉部健康推進課主催 「人を幸せにする魔法のことば」・・・「心が元気な人を増やすことによって、うつ病や自殺を予防する」市役所主催の「自殺予防・こころの健康づくり講演会」でした。