2016年9月17日、大分市で日本カトリック医師会の役員研修会があり、「マザー・テレサの医療者へのメッセージ」というテーマでお話をさせていただきます。
このブログの読者さんにも医療関係者の方がおられるでしょうから、今日は、それに関連した話題とします。
マザー・テレサは、1982年4月26日、長崎大学医学部で医師・看護師・学生に対して講演をしています。
その一部抜粋です。
「みなさまは生命とかかわりのある仕事をしていらっしゃるのですから、それはたんに職業というだけでなく、
神聖な愛の仕事でもあるのだということを、どうぞ、心に銘じていただきたいのです。
みなさまは、神のかたどりとして創られた生命とかかわっていらっしゃるのです。
ですから、みなさまが神を、そして、かかわる人びとのなかにイエズスを見ることができるように、みなさまの手は、どんなに清くなければならないでしょうか。
目や心も、どんなに清くなければならないでしょうか。
(中略)
みなさまも、患者さんに接する前に祈るということが、とても大切です。
自分は、ふさわしくない者であるにもかかわらず、患者さん(すなわちイエズス)にふれることができるという、すばらしい賜を与えられたことを思って祈るのです。」
マザー・テレサは、いつも祈っていました。
早朝の祈り、ミサ、移動中にもロザリオ・・・。
仕事をしているときも、祈りながら・・・。
ですから、目の前にいる病気の人、貧しい人が、一人ひとり大切な存在として、彼女の目には映りました。
関わる人の中に、神を見ることができました。
そして、神の道具として自分を捧げることができたのです。
マザー・テレサが言うように、医療に携わる人は、「神聖な愛の仕事」を行うことができます。
けれども、他の仕事をする人もまた、できると思います。
直接、生命を救うということはないかもしれませんが、目の前の人への一つ一つの小さな行いや笑顔や言葉が、その人の苦しみや痛みをやわらげ、
その人は喜びや希望や勇気を与えることは現実にあります。
それは、一本の注射、一粒の薬よりも、その人の生命に活力を与えるかもしれません。
医療に携わる人もそうでない人も、私たちは自分の小さな行いを通して、
人を幸せにする仕事ができると思います。
私たちのまわりに自分は理解されていない、愛されていない、大切に思われていないと感じ、生きている意味も見出せず、ただ毎日を仕方なく生きている人がいないでしょうか。
マザー・テレサは言いました。
「いまや、望まれないこと、愛されないことの方が、ハンセン病や結核やガンなどよりもずっとひどい病です。
病気の人々に対しては、薬がありますが、孤独な人々や望まれない人々に対しては、あなたの愛や私の愛だけが、その苦しみを取り除くことができるのです」
自分のなすことが「神聖な愛の仕事」になるようにと祈りながら、 おこなうことは幸いをもたらします。
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【出典】マザー・テレサ来日講演録『生命あるすべてのものに』