人をほめると、いいことがあります。
けれども、日本人は(外国人が賞賛するほど、礼儀正しく、マナーを守り、おもてなし上手なのに)、互いにほめるということが少ないようです。
「認めてもらいたい」「ほめてもらいたい」という欲求は誰にでもありますが、ほとんどの人は満たされていません。
そのため、子どもから大人まで自己肯定感は低いのが現状です。
ほめることをあまりせず、相手に命令や指示をしたり、叱責したりすることが多くなれば、人間関係がギクシャクするのは当然でしょう。
日本人にうつ病やうつ気味の人が多いのも、ほめ合う習慣が少ないことも関係しているかもしれません。
ほめ上手なら、人生や仕事、あらゆることがうまくいきます。
人を動かせるリーダーも、家庭円満な人も、子育てがうまくいく親も、優秀な営業マンも、恋愛上手な人もみんな、ほめ上手です。
そこで、ほめることの良さを思い出すためにどうぞ!
ほめると人間関係が変わります
ほめるときのコツは、見え透いたおせじにならないように、心からほめることです。
その人の良いところを考えて
「料理がじょうずですね」「字がきれいですね」「運転がうまいですね」「声がきれいですね」「お話が上手ですね」
など、具体的なことをほめるといいです。
また、同じことを何度もほめることで、心からそう思っていることが伝わります。
ほめることで、あなたの人を見る目が優しくなり、あなたの心は穏やかに向上していきます。
今日、まず身近な人を誰か一人ほめてみましょう。
その人との人間関係が変わってきます。
もちろん良い方向へ。
ほめると楽で楽しくなります
山本五十六元帥に次のような名言があります。
「やってみせ、言ってきかせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
山本五十六元帥は、連合艦隊司令長官として何千何万人もの人を命令一つで動かすことができた人です。
それほどの人物が、人を動かすには、命令するだけではダメだと思っていたのです。
職場では部下、家庭では子どもに対しても同じです。上司や親なら、権威をもって、「ああしなさい」「こうしなさい」と命令や指示をし、ある程度、その人を動かすことはできるでしょう。
しかし、多くの場合、動かされているのであって、自分から動いているとは言えません。
命令や指示によって受身的に動かされるのではなく、自分から主体的に動くようになるためには、ほめてやらねばなりません。
ほめてもらえたことで、その人は、自分の行動を「これでいいんだ」と納得し自信がつきます。
ほめてもらえたことで、喜びが生まれやる気も出てきます。
すると、いちいち言われなくても自分からすすんで行動するようになり、その結果、指示や命令をする立場の人もストレスが生まれないし、楽になるのです。
それに、ほめるとストレスが減り、笑顔になれます。
「一怒一老」「一笑一若」という言葉があります。
「一怒一老」は、一つ怒ると、その分老け込むという意味です。
怒ると緊張やストレスが増し、精神的に疲れて早く老いていくのです。
「一笑一若」は、その逆です。
一つ笑うと、一つ若くなる、という意味です。
近年、医学分野でも笑うことは健康や病気の回復に効果があるとさかんに言われています。笑うことは、精神をリラックスさせ、よい人間関係をつくる上でも大切なことです。
ところで、ほめることは、笑うことにも通じます。
人をほめるとき、怒っていることはまずありえません。たいていは、笑顔なのです。
「よくがんばった」「すごい」「すばらしい」とか、笑いかけながら、ほめ言葉を言うものです。
その結果、相手からも笑顔が返ってきます。
職場や家庭は楽しいところになっていきます。
「ほめて、ほめて、ほめまくる」
一生、ほめて、ほめて、ほめまくる人生を歩んでほしい。
そうすれば、君たちは出世できる。
君たちは、結婚できる。
君たちは誰からも好かれるいい人生が送れる。
だから、ほめて、ほめて、ほめまくるのだ。
齋藤 孝著『ほめる力 「楽しく生きる人」はここがちがう』
明治大学の齋藤孝先生は、大学の授業で「ほめて、ほめて、ほめまくる」という練習メニューをつくって、学生にやってもらっているそうです。
小グループを作って、順番に、数分ずつ、ほめ合いっこをするのです。
学生にものすごく評判がよくて、「バイト先の雰囲気が全然変りました」「塾の子どもたちがみな言うことを聞いてくれるようになりました」など、絶賛の嵐だそうです。
こういうことを大学の授業でやっているのかと、驚く人もいるかもしれませんが、
実は、同じような「ほめる練習」を社内研修に取り入れている会社も結構あります。
確かに人をほめたり認めたりするといいことがいっぱいあります。
自分の中の嫉妬心などの負の感情が減っていき、さわやかで幸せな感情が増えていきます。
相手も喜ぶので、相手やまわりの人からも好かれるようになります。
自分もまた、人からほめられるようになることもあります。
そして、人間関係や職場の雰囲気が良くなっていくのです。
ほめるのが苦手な人には、心ではそう思っていても、口に出すのはなんとなく恥ずかしいという人がいます。
ますは、ほめることに慣れましょう。
自分のボキャブラリーに「ほめ言葉」を2.3個用意しておきます。
「それ、いいですね!」「さすがですね!」「良い笑顔ですね」「さすがですね!」「大したもんですよ」
このような言葉を、まわりの人にいつも意識して使ってみるといいでしょう。
すると、ほめ感覚がつかめてくるし、ほめることの素晴らしさも実感できるようになります。
ほめられた人は、うれしく思います。
気持ちが明るくなったり、やる気がでてきたりしますし、あなたに好意をもつようになるのです。
逆に、自分にほめられたときは、ちょっと気をつけましょう。
謙遜して、「いやあ、そんなことないです。自分なんかまだまだダメです」と、言ってしまいがちではないでしょうか。
私も、たまーに、ほめられたときなどは、ついそう思ってしまいます。
それをそのまま口にしてしまえば、せっかく(勇気を出して)ほめてくれた人の思いを否定することになってしまいますね。
ですから、心に中で「いやあ、まだまだ」と思っても、「ありがとうございます」と感謝して、「これからもがんばります!」と前向きに受けとめてはいかがでしょう。
日本人(あなたももちろん)は、素晴らしいです。
勤勉で、礼儀正しく、思いやり深く、賢明です。(あなたももちろん)
みんながほめ合うこと、認め合うことに慣れたら、自分なんかダメだと思う人は減るでしょう。
そして、互いに一日をいっそう楽しく過ごせます。