いい話

スピーチの苦手な国王の名スピーチ(英国王ジョージ6世の物語)

    あなたには苦手なことがありませんか。 

私には苦手なことがいくつかあります。

特に乗り物に乗るのは子どもの頃から苦手です。

小学校のバス遠足では、酔い止め薬を飲んでも、酔ってしまい、気分が悪くなって、よく吐いて、先生やみんなに迷惑をかけていました。

人は誰しも苦手なことがあるものです。

他の人は難なくできることを、自分はどうしてできないんだ。

これだけはやりたくない。でも、やらなければならないと、悩んでいる人は少ないはず。

職業に就くのも、必ずしも得意だからやるわけではないでしょう。

たとえ得意なことを職業にしている人だって、その職業で直面するすべてのことを難なくこなせるわけではないと思います。

そんなあなたにご紹介する勇気が湧いてくる話です。

ドモリだった英国王

映画『英国王のスピーチ』(原題:The King’s Speech)は、誰しも抱えるそんな悩みを描いています。

この映画は、第八十三回アカデミー賞作品賞など各映画賞を多数受賞した傑作。

ストーリーを知った上でも楽しめます。(ので、少しお話しますね)

それは俳優たちの演技がうまいし、演出や構成が巧み、セリフも面白いからです。

主人公は後に英国王ジョージ6世となるヨーク公アルバート王子。

王族として厳しく躾けられてばかりの彼は、過度のストレスから吃音症(ドモリ)になっていました。

それにもかかわらず、王族として式典でのスピーチをしなくてはなりません。

人前で話すのが苦手な彼に、スピーチは苦痛以外の何ものでもありませんでした。

嫌々ながらもスピーチに臨み、大勢の聴衆を前に口ごもってしまう彼の哀れな姿には、誰しも同情と共感を覚えるでしょう。

ジョージ6世として即位した後、ヒトラーの率いるナチスドイツとの開戦直前、不安に揺れる国民は王の言葉を待ち望んでいました。

国民の心をひとつにするために挑む

王は国民の心をひとつにするため、世紀のスピーチに挑みます。

彼を治療する言語聴覚士のライオネル・ローグと一緒に、身分や立場の違いを超えて苦手なことに取り組み、スピーチを成功させようとする姿に感動せずにいられません。

彼らを支え、応援した家族の姿が描かれているのも、この映画のいいところです。

こうして、ジョージ6世は、国王としての致命的ともいえる欠点に悩まされながら、運命を受け入れ、向き合っていきました。

努力に努力を重ね、欠点を克服し、国民から敬愛される国王となるのです。

実は脚本家もドモリに悩んでいた

ちなみに、本作により、第83回アカデミー賞脚本賞や英国アカデミー賞オリジナル脚本賞など多くの賞に輝いたデヴィッド・サイドラーは、みずからも吃音で、無口な人間として過ごしてきたそうです。

彼だからこそ書けた脚本でしょう。

私の車酔いという、人間としての欠点は、いまでも続いています。

けれども、薬を飲めば、遠くまで行けるようになりました。

この欠点のおかげで、少しは人の痛みがわかるようになったと思っています。

人間だから、私たちには誰でも苦手なことがあります。

けれども、がんばれば、応援してくれる人も、いるはずです。

克服できても、できなくても、負けず立ち向かっていくあなたは輝いていきます。

・【出典】DVD『英国王のスピーチ』(原題:The King’s Speech)