親や教師の何気ない一言が子どものやる気を引き出し、高めることもあれば、その逆もあります。
子どもに与える言葉の力は、大人が思う以上に大きいものです。
そこで、絶対的なものではありませんが、私が考える「子どもを勉強嫌いにする親の口ぐせワースト7」をご紹介します。
次のような言葉を言っていれば、あまり子どもには良い影響がありません。
ですから、言葉かけを変えたほうがよいでしょう。
後で、その言葉をどう変えればよいかをお伝えしていきます。
「ダメな子ねえ」
日本の子どもは、諸外国の子どもと比べると、自己肯定感が非常に低く、自分をダメな人間だと思う子が多いです。
「ダメ」を言動ではなく、自分自身に向けて言われると、親から存在を否定されたような気持ちになり、自己肯定感をもてなくなります。
勉強だけでなく、前向きに生きていく力が喪失していきます。
「どうしてこんなことができないの? 」
親はただ単に疑問を口にするだけかもしれませんし、子どもにできなかった原因を考えさせたくて言うのかもしれません。
しかし、勉強などで、がんばってもできなかったとき、ちょっと失敗したときに言われると、子どもは自分が責められているように感じて落ち込み、口を閉ざしてしまいます。
「物覚えが悪いわね」
他にも「頭が悪いのね」「あなたはバカだからね」「いったい誰に似たのかしら」などと能力を批判され続けると、子どもは自尊心を傷つき、劣等感を植え付けられます。
がんばろうという意欲がなくなり、他の能力が伸びる可能性さえもつぶれてしまいます。
「どうせ…」
「どうぜ無理」「どうせやってもダメ」「どうせ、あなたにはできないよ」などと「どうぜ」の後に続く言葉が、子どものやる気をそぐことが多いのです。
そんな親の言葉を聞くと、子どもも「どうせ自分にはできない」と自信を失い、やる気がなくなっていきます。
「早く早く」
「早く早く」「早くしなさい」とよく命令される子は、「自分は遅いんだ」「グズなんだ」という気持ちになり劣等感をもちます。
そして、自分の行動に自信がもてなくなり、オドオドしてきます。そんな自分を「ママは嫌いなんだ」と思いこんでしまうこともあります。
「お母さんの言うとおりやりなさい」
もちろんたいていのことは、お母さんの言うとおりにしていいのです。
ただ、あまりにも言い過ぎると、「お母さんの言うことに従っていればいいんだ」と受身的で、自分の頭で考えない子にしてしまいます。
そして、自分の失敗をお母さんのせいにすることもあります。
「勉強しなさい」
もちろん勉強は大切なものですから、勉強しなければならないことは、きちんと伝えなくてはなりません。
特に小学校低学年までは。
が、何度も安易に「勉強しなさい」「早く宿題しなさい」などと言っても、自主性は育ちません。
また学年が上がるにつれて、親の言葉に反発するようになります。
中学生になると親から言ってほしくない言葉のトップが、この「勉強しなさい」です。
では、ワースト7をベスト7に変えていきましょう。たった一つでもいいのです。その一言が子どもを救います。
(この記事は『PHPのびのび子育て』2017年3月特別増刊号に掲載した原稿から抜粋修正したものです)