2008年から10年間、旧ブログ「子どもの本・絵本を読もう!」に、ほぼ毎週、おすすめの絵本や本をご紹介していました。(430冊くらい)
私が読んで良かった本、子どもだけでなく、大人にも読んでほしい本ばかりです。
本ブログに、それらの本の記事を引っ越しさせ、ピックアップして少しずつご紹介していきます。(表紙画像なしです。すみません)
『ごんぎつね』新美 南吉著 黒井 健絵
誰もがストーリは良く知っていて、
たぶん何度も読んだことのある作品。
それが黒井健氏の繊細で優しい絵と
一つになってより一層の感動を誘います。
お互いに似通った境遇を持ちながら、
分かり合えず、
時には傷つけあってしまう人間の悲しさ。
でも、いたずらものだが、
心の優しいごんのような人も、
私たちのまわりにいるはずです。
新美 南吉、黒井 健 他 |
『わらぐつの中の神様』杉みき子著
いまも載っていると思いますが、
十数年前、授業で使っていた教科書には
珍しく恋愛を扱ったお話が載っていました。
これは若い大工さんと娘の恋物語であり、
心を込めて働くことの大切さを考えさせるお話です。
大工さんの言葉がとてもいいのです。
「いい仕事ってのは、見かけで決まるもんじゃない。」
「使う人の身になって、心をこめて作ったものには、
神様が入っているのとおんなじだ。
それを作った人も、神様とおんなじだ。」
杉 みき子 |
『精霊の守り人』上橋 菜穂子著
大人も楽しめる日本の代表的なファンタジーです。
面白いですよー。
ファンタジーをあまり読まない私も
ついつい読みはまりました。
主人公は、めっぽう強い30歳の女用心棒バルサ。
新ヨゴ皇国の第二王子チャグムの母親に頼まれ、
チャグムと2人で逃げることになりますが・・・
野間児童文芸賞新人賞・産経児童出版文化賞・ニッポン放送賞・
路傍の石文学賞を受賞した作品。
シリーズ化され、いずれも傑作です。
最近の日本経済新聞社なんでもランキングで
「親子で楽しめる物語」の第1位獲得!
日本の大傑作ファンタジーです。
上橋 菜穂子 |
『虚空の旅人』上橋 菜穂子 著
前にもご紹介した上橋 菜穂子著「守人シリーズ」の第4作目(外伝)
この作品は、これまでに劣らず、登場人物たちが実に魅力的に描かれ、
ミステリー風のストーリーテーリングが巧みです。
主人公は、第1作で「精霊の守人」となり、
女用心棒バルサらに救われたチャグム皇子。
その3年後、バルサへの思慕をつのらせながらも
都で帝王学を修めた14歳のチャグムは、
新ヨゴ皇国の皇太子として厳しい現実に立ち向かいます。
他国を舞台とした陰謀劇にまきこまれても、勇気と慈悲をもって
事に臨んだチャグム皇太子が、事件の解決後に語る言葉は、感動的です。
特に、忠実な側近である星読博士シュガに対して言う次の言葉は、
著者の読者(子どもたち)へのメッセージかもしれません。
「・・・そなたの才能を、まつりごとだけにすりへらすな。
驚きをもって異界をみるまなざしをけっしてくもらせないでくれ」
まだの方は、第1作『精霊の守り人』から読まれることをお勧めします。
大人も楽しめる日本の最高級のファンタジーです。
上橋 菜穂子 佐竹 美保 |
『フランダースの犬』 ウィダー著
幼い少年ネロと老犬パトラッシュの深い友情と愛を描いた名作です。
この本を読んで涙を流した経験はないでしょうか?
いまも、やはり多くの子どもは悲しくて泣くででしょう。
でも、子どものときにこのような物語にふれて
涙を流すことは、大切な経験だと思います。
ウィーダ 野坂 悦子 |
|
『星の王子さま』サン・テグジュペリ オリジナル版
日本だけでも600万部以上発行されている、世界的な大ベストセラーです。
子ども向けのストーリ展開ですが、むしろ大人へのメッセージに満ちた
不思議な物語です。
「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。
かんじんなことは、目には見えないんだよ」
この言葉は、心の目で真実を見ることを忘れた大人、
そしてこれから大人になる子どもたちへの警鐘なのかもしれません。
サン=テグジュペリ |
『クリスマス・キャロル』チャールズ ディケンズ 著
一度は読んでおきたいクリスマスの名作です。
仕事熱心だが欲張りなスク-ルジ-が、
クリスマスの夜に次々と送られてきた霊によって、自分の愚かさに気づき、
人間愛に目覚める楽しい物語です。
まずは昔の商売仲間のマ-レ-が亡霊として現れます。
その後、一晩の間に主人公のもとへ自分の過去・現在・未来を示す三人の霊が
やってくるのです。
純粋だった少年時代、人を愛し愛された青年時代、金の虜となってしまった今
の自分を次々と客観的に見ることで、泣き笑い叫び、悔やむ。
そして、ついに改心をとげ、歓喜の朝を迎えます。
チャールズ ディケンズ |
『りゅうの目のなみだ』浜田 廣介著
竜と少年の心温まる友情のお話です。
ある町に、大人も子どもも誰もが恐れる竜を、
少しも恐れない少年がいました。
少年は、母親の反対を押し切って、
竜を自分の誕生日祝いに招待しようと、
山奥の竜に会いに行きます。
竜はその申し出を聞いて、きょとんとします。
しかし、少年が優しい心に頭を下げて言います。
「ありがとう。ありがとう。
これまでわたしは、ただの一度も 人間から優しい言葉をかけて
もらったことはない。
いや、それどころか、わたしはいつでも
ただ嫌われて憎まれどおしできたのだよ」
このとき、竜の目から涙が流れ出すのです。
浜田 廣介
|
『二分間の冒険 』岡田 淳 著, 太田 大八 絵
魔法使いのような黒猫ダレカに出会った時から、
悟の長い長い二分間の大冒険が始まります。
不思議な世界へやってきてしまった悟は、
生贄として少女かおりと竜の館に
行かなければならなくなってしまいます。
元の世界に戻る方法は、
この世界で「一番確かなもの」に変身している
ダレカを捕まえること。
はたして「一番確かなもの」とは・・・?
予想がつかないストリー展開に、
子どもも大人も読み始めたら止まらなくなりますよ。
岡田 淳 |
『がんばれ元気』 小山ゆう著
この漫画は、堀口元気少年が、幼いときに
亡き父親と誓い合った夢をめざし成長していく物語です。
その夢は、ボクシングの世界チャンピオンになること。
スポーツ根性物語の枠を超え、
様々な個性的人物が登場し、親子愛、友情、恋愛、師弟愛などと
絡みあいながら、話は進展してきます。
最近久々に、少しだけですが読みなおして感動しました。
私はボクシングをしたことはないのですが、
この漫画からはかなり影響を受けてきたものです。
いまも、子どもたちに元気と勇気を与える名作漫画だと思います。
小山 ゆう |
『十二番目の天使 ジュニア版』オグ・マンディーノ (著), 坂本 貢一 (翻訳)
世界的な規模の会社の社長として富と名声を得たハーディングに、
突然の不幸が襲いかかります。
最愛の妻とひとり息子の交通事故による突然死でした。
深い絶望から立ち直れないハーディングは、
とうとう自殺を決意します。
しかし、まさに、そのとき……天使が、彼を救うのです。
もちろん天使が姿を現わすのでありませんが、一本の電話によって、
命を救われたハーディングは、
少年野球チームの監督を引き受けることになります。
そして、彼の運命を変える不思議な少年ティモシーと出会うのです。
彼はボールは取れない。ヒットも打てない。まったくチームのお荷物。
でも、いつも一所懸命で、さわやかです。
ティモシーの口ぐせのひとつは、
「あきらめない、あきらめない、絶対にあきらめない」
もうひとつは、
「毎日、毎日、あらゆる面で、僕はどんどん良くなっている」
実は、ティモシーには人に知られたくない秘密がありました。
人生、愛、そして勇気をテーマにした、
涙なくては読めない感動の物語です。
中学生以上には、大人版を薦めます。
オグ マンディーノ |
オグ・マンディーノ、塚本 やすし 他 |
『かあちゃん取扱説明書』 いとう みく著 佐藤 真紀子絵
この物語は、こんな作文から始まります。
ぼくんちで、一番いばっているのはかあちゃんです。
今朝も朝からガミガミうるさくって、ぼくはハラがたちました。
かあちゃんにいいたいのは、何日も同じごはんをつくらないでほしいです。
さいごに、かあちゃんはすぐ「早く」っていうけれど、
ぼくが「早く」っていうとおこるのは、やめてほしいと思います。
・・・・・・
作文を読んだ父ちゃんは大笑いして
「かあちゃんはほめるときげんがよくなるんだ。とにかくほめること。
パソコンもビデオも扱い方をまちがえると動かないだろ」
主人公はこうして、かあちゃん取扱説明書を書きはじめたのですが・・・。
笑いながら、親子の関係を考えられる良書です。
いとう みく |
『きつねのでんわボックス』戸田 和代著 たかす かずみ絵
町はずれのでんわボックスにあかりが灯るころ、
病気のおかあさんにでんわをかけにやってくる男の子。
それをそっと見まもる子どもをなくした、かあさんぎつね。
「ぼうやがうれしいと、かあさんはいつもうれしいの」
わが子を思う母親の心情が心にしみます。
絵と文章が見事に調和し、静かに優しく語りかける「愛の絵本」です。
第8回ひろすけ童話賞受賞作品。
戸田 和代 |
『ルドルフとイッパイアッテナ』斉藤 洋 著
野良猫たちの友情・成長・勇気を描いた物語です。
面白くて、最後はスカッとして感動しました。
少しも説教くさくなく、勉強や教養や思いやりなど
大切なことを考えさせてくれます。
1987年に発行された本ですが、ロングセラーとなって
多くの親子に愛されているようです。
きっと読書の苦手な男の子でも楽しく読めるでしょう。
第26回(1988年) 野間児童文芸新人賞 受賞 作品
斉藤 洋 |
『ルドルフともだちひとりだち』斉藤洋著
『ルドルフとイッパイアッテナ』の続編です。
のら猫ながら、仲間に助けられながら成長していく主人公のルドルフが、
岐阜のリエちゃんの家に帰ることを決意しました。
教養を高めために勉強し、
着々と勉強し計画を練って実行していきます。
愉快な仲間たちとの友情に心が温まり、
人にを思いやるルドルフの成長ぶりに大切なことを教えられます。
ルドルフはひとり旅には、ハラハラドキドキ、
そして最後の結末に感動するするでしょう。
斉藤 洋 |
『つづきの図書館』柏葉 幸子 (著), 山本 容子 (イラスト)
主人公は「離婚歴あり無職」だった40代の桃さん。
わけありで、生まれ故郷の図書館の司書となった桃さんに
不思議なことが連続して起こります。
そして、不運続きだった
桃さんが少しずつ変わっていきます。
面白くて、最後まで一気に読みました。
読み終わった後の余韻が心地良く、
本や人がいっそう好きになるでしょう。
大人も楽しめるファンタジーです。
『きよしこ』 重松 清著
吃音に悩む少年は、転校を繰り返す度に、恥をかき、
言いたいことが言えずに、悔しい思いをしていました。
だから少年は、ひとりぼっちでした。
ある年の聖夜に出会ったふしぎな「きよしこ」は少年に言います。
「ほんとうに伝えたいことだったら、伝わるよ、きっと」
小学1年生から高校3年までの少年を主人公とした7つの物語。
感動に心震える珠玉の作品です。
重松 清 |
『娘よ、ここが長崎です』 筒井茅乃著
2008年2月3日、今日は、永井隆博士の生誕100周年です。
それに先立ち、ご令嬢である筒井茅乃さんが、
2月2日、肺細胞ガンのため、66歳で亡くなられました。
茅乃さんは、ずっと体調が良くなく、入退院を繰り返しながら、
それでも、この1年はお父さんの生誕100年前だからと、
骨身を削って尽力されてこられたのです。
昨年、2月3日にも茅乃さんは長崎での講演で、
父親から教えられたことを語り伝えました。
「あなたが持つ大切なものを本当に
必要としている人のためにあげなさい。
神様がちゃんとあなたに与えてくれるから」
この茅乃さんに、天国の永井博士が、
「これまで、よくがんばったね。
もう十分に茅乃は力を尽くしたね。」
と天国で言ってくださったのでしょうか。
神様は、永井隆の生誕100年を天国で、
家族みんなそろって
お祝いさせたかったのでしょうか。
さて、博士のご令嬢である筒井 茅乃さんが
22年前に書かれた御著書は、
ロングセラーとなっており、
日本中のたくさんの子どもたちに読みつがれています。
原爆の恐ろしさ、そして平和の大切さ、
そしてお父さん永井隆のことも紹介されています。
娘よ、ここが長崎です―永井隆の遺児、茅乃の平和への祈り |