この記事は『生産性新聞』「一言」欄に、4回わたって連載されたエッセーの1つです。
『生産性新聞』は1956年の創刊以来、公益財団法人日本生産性本部の生産性運動の広報紙として、「生産性」「経営」「労働」をキーワードに、タイムリーな記事を提供している新聞です。
さまざまな経営課題をめぐる記事も充実しています。
仕事がうまくいとしたら・・・
周囲の人に感謝する気持ちが、職場の雰囲気を良くし、仕事の生産性を高めていきます。
仕事での成功が続くと、「うまくいったのは自分に能力があるからだ」とつい自負しまうものです。
そうかもしれませんが、他にも理由があります。
仕事が成功したのは、お客様や上司がチャンスを与えてくれたからです。
それに、これまで先輩が仕事を教えてくれたおかげで、仕事の知識や技術を身につけることができたはずです。
考えてみると・・・
さらに考えてみる必要があります。
ちょっとしたアドバイスをしてくれた同僚はいませんか?
仕事に集中できたのは、同僚が率先して電話をとってくれるなどサポートしてくれたからではありませんか?
資料作成を手伝ってくれた後輩はいませんか?
気持ちよく仕事ができるのは、掃除をしてくださる方のおかげでもありませんか?
そういう人たちの存在を忘れてしまえば、一時的な成功はあっても、長続きしません。
「あいつにはもうチャンスをやるもんか」「あの人をサポートするなんてバカらしい」そんなふうに、みんなの心が離れていきます。
ですから、仕事がうまくいった時には、間接的にでも支えてくれた人はいないか、考える時間をもつといいでしょう。すると、自分はいつも誰かに支えられ助けられていることに気づくでしょう。
できれば、その一人ひとりに感謝の気持ちを伝えましょう。いつも支えられているので、いつも感謝するのです。
すると、相手は自分がしたことを認めてもらって嬉しくなります。次の仕事でも支えてあげようという気持ちになります。
このような人間関係からは、良いものが生まれます。
互いに支え合い、感謝し合える職場からは、良質のサービスや製品がどんどん生み出されていくのです。
『生産性新聞』2012年3月25日