感謝すると人間関係がよくなる。感謝すると幸せになる。感謝すると人生がうまくいく。
このような法則が、この世の中にはあります。
そういうことを、私は多くの方々から教えていただきました。また、自分の経験からも明らかです。
幸せになるための最高の秘訣
私はいま作家・教育評論家として、執筆や講演活動をおこなっていますが、十数年前までは、長崎市に住む普通の教師でした。
もともと能力は特にすぐれたところはなく、小・中・高・大学と文章を書くことは苦手でした。でありながら、これまで70冊以上の本を出版させていただいています。
気がつけば、「何事もうまくいって、運が開けて、元気になれる」というような本をたくさん出しているのです。これはまったく私の実力ではなく、ただ運がいいのだと思います。
でも、最初からそうだったのではなく、考え方が変わるにつれて少しずつ運が開けてきたのです。
運がよくなるコツの中から最も重要なものを選ぶなら、「感謝」です。
「感謝」は、私たちが幸せになるための最高の秘訣です。古今東西の成功者たち、多くの宗教者たちもすすめる最強の秘訣なのです。
当たり前のことに感謝する
「感謝」の反対の言葉は「当たり前」だと言う人がいます。
なるほど、今あるものを「当たり前」だと思っていれば、感謝する気にはなれないでしょう。
でも、「当たり前」だと思ってきたものを「有り難い」ものだと感謝するようになれば、心は変わります。
不満や怒りは消えていき、私たちの平凡な日常生活の営みは、実はなんて恵まれているのだろうと思えてきます。
幸せに思えることが増えていきます。
例えば、水が飲めること。電気が通っていること。道路を車で走れること。寝泊まりできる家があること。これらは当たり前でしょうか?
突然、大きな震災に襲われ、水や電気が通らなくなり、道路が遮断され、家が倒壊するという経験を、私たち日本国民は何度も経験しています。
そういうとき、私たちは普段当たり前だと思っていたものが、いかに有り難いものだったか、痛みをもってわかるのです。
一九八二年、一夜で約三百人の命が奪われ、市内全域に多大な被害をもたらした長崎大水害に私も遭遇して実感しました。
家があること、家族がいること、学校や職場があること、仲間がいること、失ってみて痛いほどわかるのです。ぜんぶ有り難いことであったと。
できれば、失う前に、当たり前の有り難さに気づきたいものです。
例えば、親の存在。親がいなければ、私たちはこの世に生を受けることはありませんでした。生まれたての赤ん坊は無力で、自分一人では泣くことぐらいしかできません。
そんな私たちを親(親に代わる人)は、あやし、ミルクを飲ませ、おむつを換え、夜泣きのときや病気のときは夜を徹して世話してくださいました。
物心ついた後も、衣食住のすべてを親に頼ってきました。でなければ、生きていくことはできなかったのです。
自分の体も有り難いもの
そして、自分の体。
体が当たり前に動く有り難さは、病気になると実感できます。数年前、私はギックリ腰で一週間寝込んだことがあります。
食事のために体を起こすのにも、トイレのために起き上がるのにも、腰の痛みをガマンしなくてはなりませんでした。
くしゃみをしても、声を出して笑っても、腰に激痛が走りました。その経験から、いかに腰が自分の日常を支えてくれていたか、実感したものです。
もちろん腰だけでなく、心臓も脳も手足も、体のすべての部分はいつも当たり前のように黙って、私たちの命の営みを支えてくれているのです。
「今日」「今」という時間も有り難いもの
他にも、「今日」「今」という時間。時間も、当たり前のように与えられています。
でも、「今日」「今」を、どんなに優れた人間も機械も創り出すことはできません。どんなに富と権力を持っていても、そのことで与えられることはありません。
どんなに強く願っても、与えられる保障はありません。「今日」を生きたかったのに、泣く泣く逝ってしまった人は大勢いるのです。
その「今日」という貴重な時間を、私たちは毎日、無償で与えられているのです。「今」という時間は、Present(プレゼント)。私たちに与えられた贈り物なのです。
愛する人の命を失うときに、人は命の尊さを痛感するといいます。人の命も、自分の命も、無償で与えられましたが、決して当たり前のものではありません。
お金にも、何物にも代えられないほど価値のあるものです。
命だけでなく、体も、心も、時間も……、無償でいただいています。
私たちは、それほどに価値ある素晴らしい存在なのです。
当たり前であるからこそ恵まれている
繰り返します。
私たちの存在も、営みも、起こる出来事も、親や人様がしてくださることも、一見平凡で当たり前のように思えることがあるかもしれません。しかし、全部有り難いことなのです。
それら一つ一つに感謝すると、自分がいかに恵まれているかに気づきます。
感謝するほどに、日常生活の小さな幸せに多く気づきます。
自分を肯定でき、人生はより恵み豊かなものになっていくのです。