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サンタクロースとは?本当にいるの?

日本でも毎年12月になると、クリスマスの雰囲気がでてきます。

クリスマスと言えば、子どもたちの大好きなサンタクロース。

日本や多くの国では、サンタクロースは、クリスマス・イブの夜にプレゼントを持ってきてくれる赤い服と白いひげの優しいおじいさんですね。

では、サンタクロースに関連する以前書いた記事をご紹介します。

サンタクロースとは

 サンタクロースの起源となった人は実在しました。四世紀ごろ、小アジア(現在のトルコ)のミュラの司教だった聖ニコラスです。

 聖ニコラス(二七〇~三四五年頃)は、困っている人や貧しい人を助け、自分の持ち物を惜しまず与えていた優しい人でした。

 一つエピソードが残っています。

 ニコラスの近所に三人の娘のいる貧しい家族が住んでいました。娘を売らなければならないほど、お金に困っていることを知ったニコラスは、夜その家の煙突から金貨を投げ入れました。金貨は、暖炉のそばに干してあった靴下の中に入って、そのお金で娘は救われ、後に結婚することができたのです。

 ニコラスは、同じことを下の二人の娘のためにも繰り返し、その家族を救ったそうです。   クリスマスに靴下を下げておくと、サンタクロースが煙突から入って贈り物を入れてくれるという言い伝えは、ここから生まれたようです。

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信じると奇跡が起こる

 さて、サンタクロースが登場して、家族で楽しめるクリスマスの代表的な名作映画として、「三十四丁目の奇跡」をご紹介します。

これは、現実や常識にこだわっていたキャリアウーマンとその幼い娘が、サンタクロースを名乗る老人や彼女たちを愛する若い弁護士のおかげで、信じることの大切さに目覚める心温まる物語です。

ストーリーはざっと次のようなものです。

毎年、ニューヨークの百貨店メイシーは、三十四丁目通でクリスマス・パレードを催しています。

中でも人気なのはサンタクロースの行進です。

 とりわけ今年、子どもたちの人気を集めたのは、本物のサンタクロースと自称する長い白ひげを持つ老人クリス・クリングルでした。

 彼は酔っぱらってしまったサンタクロースの代役としてキャリアウーマンの人事係長ドリス・ウォーカーが雇ったのです。

百貨店では七階おもちゃ売場の人寄せに立たせて、クリス老人はクリスマス・セールを始めました。。

 クリスは子どもたちのために最善のサービスを尽くし、大好評となります。

 ところで、ドリスの娘スーザンは、サンタ・クロースなど信じていません。スーザンは母親のドリスから、サンタ・クロースなんか嘘だと言い聞かせていたからです。

 ある日、スーザンはアパートの隣室の住人である弁護士フレッド・ゲイリーに連れられてメイシー百貨店へ行きます。

 クリスに会うと、スーザンは、彼が本当のサンタ・クロースだと信じ始めるのです。

 しかし、その後、ちょっとした事件がおこり、クリスは精神病院へ入れられることになってしまいます。

 弁護士フレッドは、あきらめかけているクリスを、彼を信じ愛する少年少女たちのために戦えと励まし、自ら弁護役を買って出て、法廷で争うこととなります。

 その裁判は、彼が本物のサンタクロースか否かという前代未聞の論点で争われることに……。

 はたして、この裁判の結果はいかに?(それは秘密)

 裁判が終わり、スーザンはクリスに頼んでいた内緒のクリスマスプレゼントをもらえなかったことが気になっていました。

簡単にはもらえないとは、わかっていたのだけれど、ずっと期待はしていたのです。

 気落ちしている娘スーザンに母ドリスは、事情を知らないながらも言います。

 「思い通りにいかなくても、信じることは大切なのよ」

 さて、この物語の結末はいかに?(これも秘密、でもハッピーエンドですからね)

サンタは本当にいるの?

 「サンタさんは本当にいるの?」

 これは、子どもがよく言う疑問です。今から約百二十年以上前のニューヨークに住んでいたバージニアという八歳の女の子も、そうでした。

 ある日学校で友達から「サンタなんていないんだよ」と言われたバージニアちゃんは、お父さんに尋ねてみました。

 すると、お父さんは、「ザ・サン(新聞社)がそう言うならいないんだろう」と答えました。

 そこで、バージニアちゃんはさっそく「本当のことを教えてください。サンタクロースはいるのですか?」と、新聞社に手紙を書いたのです。

 この手紙に返事を書いたのが、新聞記者であったフランシス・チャーチ。ザ・サン紙の社説として一八九七年九月二十一日に掲載されたバージニアちゃんへの返事は、人々の心を打つ感動作として百二十年以上たった今でも世界中で語り継がれています。その一部を訳してご紹介しましょう。

 「そう、バージニア。サンタクロースは確かにいる。愛や寛容、深い思いやりの心があるように。それらは人生を最高に美しく、喜びに満ちたものにしてくれるんだ。……この世でいちばん大切なことは、子どもにも大人にも見えないんだよ」

 そうです。サンタクロースは確かにいます。

 百年たっても、千年たっても、この世が続く限り……。

 聖ニコラスが時空を超えて、子どもにも大人にも贈り物をもってきてくれることを私も信じています。

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『カトリック生活』2019年12号 連載エッセー「いのり・ひかり・みのり」第97回 拙稿「サンタさんの話」より