熱意はあなたの人格の原動力だ。
それがなかったら、
どんなにすぐれた能力をもっていたとしても、
その能力は眠ったままで役に立たない。
デール・カーネギー
(1888~1955)
アメリカの社会教育家
これは、『道は開ける』『人を動かす』などの名著の著者デール・カーネギーの言葉です。
彼は、哲学者でも、宗教家でも、大学教授でもありません。どこにでもいるようなサラリーマンでありながら、独立独歩の道を歩んで成功した社会教育家でした。
そして、彼の本は世界中でロングセラーを続け、今も多くの人に影響を与えています。
しかし、カーネギーは、長い間、不幸な人間の一人だったのです。
不幸な青年だったカーネギー
もともとカーネギーは、ニュ―ヨークで最も不幸な青年の一人でした。
トラックのセールスがうまくいかず、毎晩、頭痛(失望、悩み、苦しみなどに起因する頭痛)を抱えて、孤独な部屋に戻っていきました。
「これが人生だったのか?あれほど熱心に憧れていた活気あふれる人生とはこれだったのか?
自分でさえも軽蔑している仕事に身をやつし、ゴキブリと同居し、ひどいものを食べ、未来に何の希望もない。これが私の人生のすべてなのだろうか?
私の切なる願いは、読書のための余暇であり、遠い学生時代に夢を見ていた本を書く時間であった」(デール・カーネギー著『道は開ける』)
この悲惨な状況から抜け出すために、彼は思い切った決断をし、実行します。
その結果、カーネギーは次第に成功を勝ち得ていくのです。
思い切った決断と行動
悲惨な状況から抜け出すための彼の決断は、こうでした。
まず、嫌な仕事をやめる。
そして、夜間学校の成人クラスでスピーチの方法を教えて生活すること。
そうすれば、昼間に本が読めるし、本も書ける。
つまり、「書くために生活し、生活するために書くこと」でした。
凡人であった彼が成功したのは、自分の長年の願いのために、日々、弛まぬ努力と研究を続けたことにあります。
彼の著書、『道は開ける』『人を動かす』『話し方教室』『自己を伸ばす』などを読めば、それがよくわかるのです。
ちなみに、彼が『道は開ける』の第1章で述べていることは、「現在という時間を懸命に生きよ」ということです。
過去と未来を鉄の扉で閉ざせ、
そして今日という区切りの中で生きよ。
強い言葉で、今日、今できことに専念し実行せよと教えています。
今できることを実行する
あの日野原重明先生にも多大な影響を与えたウィリアム・オスラー医師は、若い頃、ひとりでずいぶん悩んでいた時期があったそうです。
しかし、次の言葉に出合い、迷いがふっきれ、勇気づけられたのです。
「我々の大切な任務は、遠くにあるぼんやりしたものを見ることではない。はっきりと、手近にあるものを実行することである」(カーライル)
もどってはこない過去を思い出してクヨクヨするのではなく、来ないかもしれない未来を心配し過ぎて憂鬱になるのではなく、いまの自分にできる目の前の小さなことを実行する!
今日、私もそうありたいと願っています。
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出典:デール・カーネギー著『自己を伸ばす』『道は開ける』(創元社)