人間本来の呼吸法は「鼻呼吸」ですが、無意識に多くの人が「口呼吸」をしている現実があります。
あまり意識したことはないかもしれませんが、実は「口呼吸」には健康上のデメリットが多く、特に息を吸う時はできるだけ「鼻呼吸」にしたほうがよいと多くの医学者が論じていることです。
以下、「口呼吸」と「鼻呼吸」についてまとめておきます。
「口呼吸」が健康に良くない理由
口呼吸を行うと、冷たく乾いた異物だらけの空気がダイレクトに咽頭や喉頭に当たってしまい、口内は乾燥し、病原体が繁殖しやすい状態になります。
すると、風邪をひきやすくなり、インフルエンザや新型コロナなどのウイルスの侵入を許してしまう危険性が高くなります。細菌やウイルスの侵入により、繰り返し扁桃腺に炎症が起こることによって、免疫異常を引き起こし、喘息や皮膚炎など様々な疾患にもつながるといわれており、注意が必要です。
口呼吸が頻繁になることで、口の中が乾きやすくなり、唾液による口の中の殺菌が行われず、口臭や歯周病の原因になることも指摘されています。
さらに、口呼吸の割合が高くなることで、睡眠の質の低下、心身の怠さや、持久力や注意力の低下、うつ症状や認知症などのさまざまな精神疾患にもつながることが知られてきています。
口呼吸の原因として、歯並びや慢性的な鼻づまりなどの他に、姿勢の問題や口周りの筋力が低下して口が閉じにくいことなどが関係しているようです。
「鼻呼吸」が健康に良い理由
口呼吸が無防備な呼吸法なのに対し、鼻呼吸は非常に優れた防御システムを持つ呼吸法です。
鼻の入口にある鼻毛は天然のフィルターとも言われ、外から侵入しようとする花粉やホコリなどをブロックしてくれるほか、鼻腔粘膜では、線毛の上皮細胞と粘液の分泌によってウイルスや細菌などのさらに小さな異物を絡め取ってくれます。
鼻から入ってきた空気は、鼻腔の中を通過する際に適切な温度と湿度に調整されるので、肺の負担を軽減し肺の中でスムーズに循環されています。
こうした働きによって鼻から入る空気は、口から入る空気よりも感染症に罹るリスクが少ないと言われています。
呼吸器の一部である鼻は、温度調節や加湿機能、空気清浄機能を兼ね備えており、健康のためには鼻呼吸が重要です。
深呼吸も、鼻で空気を吸って、口で息を吐くが基本です。
「口呼吸」を「鼻呼吸」にするために
口をポカンと開けていると、自然と「口呼吸」になる傾向があります。 その習慣を「鼻呼吸」に変えていくために、私は口を開けたままにしないように気をつけています。
そして、もう一つ。「あいうべ体操」をしています。
「あいうべ体操」とは、みらいクリニック院長の今井一彰医師が提唱する、口呼吸を鼻呼吸に改善していく簡単な口の体操です。
幼児から高齢者まで、だれでも、いつでも、どこでもできます。食後に10回、一日30回を目安に地道に続けると、舌の力がついて自然を口を閉じることができるようになります。
やり方は、次の4つの動作を順にくり返します。声は出しても出さなくてもかまいません。
(1)「あー」と口を大きく開く
(2)「いー」と口を大きく横に広げる
(3)「うー」と口を強く前に突き出す
(4)「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす
(1)~(4)を1セットとし、1日30セットを目安に毎日続けます。
たった、これたけです。
実は、私は毎日続けたわけではありませんが、時々やるだけで意識しなくても鼻呼吸ができるようになり、睡眠中の呼吸(いびき)も改善したようです。
そういえば、風邪も引かないようになったし、新型コロナにも1度もかかりませんでした。
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参照:今井一彰著『あいうべ体操と口テープが病気を治す! 鼻呼吸なら薬はいらない』(新潮社)