いまあるものを活かす
▼大分県の豊後高田市(ぶんごたかだし)の「昭和の町」に行ってきました。
ここで企業にも個人にも応用できる大切なことを学びました。
それは、
いまをあるものを否定するのでなく、価値を見出すこと。
いまあるものを活かす。
ということです。
豊後高田市の「昭和の町」は、まさに「いまあるものを活かす」ことでV字復活した商店街として、全国の注目を集めている町なのです。
▼豊後高田市の商店街は、昭和30年代までは近辺で最も栄えた商店街でした。
が、その後、大型店の郊外への出店や過疎化のために衰退し、近年では、シャッター通りと言われるほど寂れていたそうです。
この商店街に賑わいを取り戻すために、町おこしのプロジェクト始められたのが、約10年前。
そのとき、出されたアイディアは、まったく新しいものを1から創るのでなく、いまあるものを活かそう、という考えでした。
衰退のために建て替えが進まず、昭和30年代以前の古い建物が約7割も残っていることを逆手にとって、昭和30年代の町並みを再現したのです。
その方が、費用も労力もかかりません。
この町本来の良さをアピールできます。
▼これが大当たりしました。
2001年に、9店の商店が昭和30年代の外観に戻し、2006年には38店に広がりを見せ、観光客が急増。
地方都市再生の成功例として全国から注目され、2006年には第2回JTB交流文化賞優秀賞を受賞。
「ネコとイヌしか通らない」と言われた商店街が、2010年には、40万人の観光客が訪れ、発展し成長し続けているのです。
「駄菓子屋のおもちゃ博物館」
▼この「昭和の町」の中心的な人物とお会いできました。
小宮裕宣さん、駄菓子屋の夢博物館の館長です。
「えらく熱っぽく観光客に説明しているおじさんがいるなあ・・・」
と感心してみていたら、その人が小宮館長だったのです。
小宮館長は、ただ者ではありません。
駄菓子屋の常連だった少年時代、「おまけ」の玩具に心引かれ、大人になってからは、雑貨販売業を営みつつ全国をまわって玩具を収集。
現在まで集めた数はなんと30万点!!
その後、太宰府天満宮参道にて「駄菓子屋のおもちゃ博物館」を開館。
そして平成14年、豊後高田市から再三、口説かれた小宮館長は、日本一を誇るおもちゃの数々と一緒に「昭和の町」に引っ越してきました。
現在、昭和の町の「駄菓子屋の夢博物館」では、小宮館長が所蔵する約30万点の中から、入れ替わりで6万点ものおもちゃが展示されています。
▼小宮館長のお話によると、何十年もかけて全国で集めてきたおもちゃ類は、当時、無価値だと思われていたものだったそうです。
倉庫のすみっこに眠っていたものやゴミ同然と扱われていたものを、「売ってください。いくらですか?」と尋ねると、「そんなの、あんたが値段をつけて、もっていっていいよ」と言われ、タダ同然の値段で買い集めてきたのです。
それらの所蔵品がメインとなって、年間40万人も観光客を呼び込み、町を活性化させています。
小宮館長は、ゴミとして捨られるはずのものが、町や人を活性化させる「宝の山」になるとは、夢にも思っていなかったそうです。
▼小宮館長のこのエピソードも「いまあるものを活かす」ということにつながりますね。
他の人には、ゴミほどの価値しかなかったものを、小宮館長は、愛着をもって大切にすることで、それらを何百倍、何千倍も活かすことができたのです。
徳島県上勝町の葉っぱビジネス
▼以前、ご紹介した、葉っぱビジネスで過疎化した村を活性化した、徳島県上勝町のことを思い出しました。
上勝町では、山に落ちている葉っぱを全国の高級料亭やホテル売る事業で、高齢者が仕事と収入を得て、町全体が元気になってきました。
これも、「いまあるものを活かす」ことです。
ただの葉っぱを発想の転換によって活かし、「宝の山」に変えたのです。
80歳以上のおばあちゃんがパソコンを使って葉っぱビジネスをすることで、高齢者は働けないという発想を転換し、高齢者を活かし、無価値だと思われていた森林資源を活かすことができたのです。
私たちは宝をもっている
▼ところで、もしかしたら、わたしたちも「宝の山」に囲まれているかもしれませんよ。
ちょっと発想を転換すれば、これまで無価値だと思っていたものが、ある日、「宝の山」に生まれかわるかもしれません。
▼飛躍するかもしれませんが・・・よく考えれば、本来、私たちは宝をもっているはずです。
自分のなかに、価値あるものをもっています。
その素晴らしさに気づけば、自分自身が宝の山なのです。
それに、まわりの人も、あなたに幸いをもたらす宝ですよ。
商売をする人にとってお客さんは宝です。
親にとって子どもは宝です。
愛する人にとって、その人は宝です。
私たちは、すでにたくさんの宝に恵まれているのです。
宝を無価値だと思っているなら、何もいいことはありません。
宝を大切にする人、活かす人には、きっと幸いが訪れるのです。
いまあるものを活かし、いまいる人を大切にする。 (^.^)