特に高齢者の方、体の弱っている方に読んでいただきたいお話です。
80歳で世界最高峰エベレスト登頂に成功した三浦雄一郎さんのお話です。
子どもの時は病弱で劣等生
実は、三浦雄一郎さんはもともと体が強い人ではありませんでした。
幼少期は、病弱で劣等生、そのため幼稚園は中退です。
小学校4年生から5年生時には結核で肋膜炎を患い、長期入院のため一年の半分ほどは学校に通えなかったほどだったそうです。
しかし、小学生の頃からスキーを通して、体を鍛えていったのです。
スキーが大好きになり、スキーができるという理由から北海道大学に入学。
卒業後は、プロスキーヤーや登山家として活躍、60代で第一線を引退しました。
会社勤めの人も定年の時期ですし、体力を使う仕事としては、潮時でしょう。
余命三年を乗り越える
しかし、引退後、不摂生と暴飲暴食がたたり、身長164cmで88kgの肥満体になりました。心臓発作を起こし、病院で検査を受けたところ、狭心症の上、血圧は190、高脂血症で、腎臓はボロボロでした。
医者に、「このままだとあと3年の命」と宣告されてしまいます。
そこから、三浦さんのチャレンジ精神がムクムクと湧き上がりました。
2006年に101歳で亡くなるまで、モンブラン氷河の滑降という挑戦をした史上最高齢スーパープロスキーヤーの実父の三浦敬三さんやオリンピックに出場した次男の豪太さんらを見て改心します。
65歳の時に、5年後の70歳でエベレスト登頂を果たすという目標を立て、まず歩くトレーニングから始めました。
最初は、小学生が登るような500m程度の山でさえ、息も絶え絶え。そこで足首に重りを付け、リュックを背負って、30分、1時間と少しずつ街中を歩く時間を増やしていったそうです。
この「ヘビーウォーキング」というトレーニングで、70歳になった頃には、元の体力に戻したといいます。
しかし、これは、三浦雄一郎が若い頃に十分体を鍛えてあったからこそできた健康法で、一般の人には、到底ここまで無理はできないかもしれません。
世界最高峰へ
ともあれ、この不断の努力のかいがあって、三浦さんは、2003年に目標の70歳、さらに75歳でも、エベレスト登頂に成功します。すごいですね。
しかし、76歳の時にアクシデントが起こります。
スキー場で転倒し、骨盤と大たい骨の付け根を骨折するという、全治6カ月の大けがに見舞われてしまうのです。
医師からは「運がよければ歩けるようになる」と言われましたが、三浦さんは二カ月半で退院し、半年後にはトレーニングを再開するという強靭ぶりを発揮します。
さらに、80歳になった直後、持病の不整脈が再発。
計4回の手術を受けて、やっと完治させています。
つまり三浦さんは、3回目のエベレスト登頂ぎりぎりまで、不整脈の治療手術を受けていたことになります。
それでも三浦さんはエベレスト登頂をあきらめず、数々の難関を制して、2013年、ついに登頂に成したのです。
エベレストの頂上で、「世界最高の気分。80歳でもまだまだいける」と、晴れ晴れと語りました。
「小さな挫折や失敗を気にせず、『今日はこれだけやれた』という達成感を積み上げていく。無理しない範囲で、できることを積み重ねていけば、やがて無理がきくようになります。」(三浦雄一郎)
私たちもいくつになっても、夢に向かってコツコツ前進していければと思います。