感謝の多い店は繁盛するし、企業も学校も発展していきます。
なぜでしょうか?
そういう店は儲かっているから感謝するのではなく、感謝するから儲かるのです。
お客さんが買ってくれるから感謝するのではなく、感謝するからお客さんが買ってくれるのです。
もう少し具体的に考えてみましょう。
感謝の多い店は繁盛する
何も買わないで帰っていくお客さんの背中に「ありがとうございました」と言う店員さんがいるお店は流行ります。
お客さんは、そのお店に何かを期待して入ってきたのです。
何かのついでにふらっと立ち寄ったのかもしれませんし、いいものがあれば買おうと思って足を運んだのかもしれません。
なかには、わざわざ遠くから電車やバスに乗ってきてくれた人もいるでしょう。
時間をかけて品物をさがして、買おうか、買うまいか、ずいぶん悩んだ人もいるでしょう。
そういうお客さんは、何も買わないで店を出ていくとき、なんだか寂しい思いになります。
でも、「ありがとうございました」と言ってもらえると、少しは救われた気持ちになれるのです。
その「ありがとうございました」を、帰っていくお客さんは背中で聞いて、全身で受けとめています。
「感じのいいお店だな、今度また来てみようかな」と思います。
さらに、その「ありがとうございました」という一言を、実は、他のお客さんも横目で見ながら自分に言われたかのように聞いています。
「買わないで帰っていく客も、客として認めてくれる店なんだな」
と好感をもち、そのお客さんたちも、きっとそのお店が好きになります。
同じ物を買うなら、お客は行くだけで感謝してくれるお店で買いたくなるものです。
私もそうです。少し遠くてもそんな感じのいい店に行って買い物をします。
そして、「あの店はいい店だよ」とみんなに宣伝します。
こんなふうに感謝の多い店は、お客さんが「いい店だよ」と宣伝してくれるので、お客さんがだんだん増えていきます。
そして、いつの間にか、繁盛店になるのです。
見送りがていねいな会社や学校は成長発展する
仕事柄、いろいろな会社や学校に行きます。
見ていると、伸びる会社や学校には共通点があるのに気づきます。
その共通点を3つ挙げてみます。
1.人の表情が明るい。
そこで働く人、勉強する生徒たちが明るく、笑顔が多く、活気があります。
明るさは、人を引き寄せ、さらなるエネルギーを生み出すのです。
2.ゴミが落ちてなくてトイレがきれい。
掃除を担当する人だけでなく、そこで働く人、生活を送る人が互いに気を配り合っている結果でしょう。そういう会社や学校は居心地がいいのです。
3.客への見送りがていねい。
感謝の気持ちから、お客様を玄関まで、あるいは姿が見えなくなるまできちんとお見送りします。
これは良い会社や学校で心がけられていることです。
「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で35年以上続けて一位を誇っている石川県の加賀屋さん。この旅館の名物の一つはチェックアウトの際のお見送りです。
女将さんや中居さんはもちろん、板場の料理人さんも、ズラリと何十人ものスタッフが居並んで、出発する観光バスをていねいに見送るのです。
その姿を見ると、誰もが感動するといいます。
私も様々な会社や学校を訪問することがあるのですが、その会社や学校がどうだったか、最後の印象はこの見送りで決まります。
わざわざよく来てくださいました、という感謝の気持ちが伝わってくると、その会社や学校がより好きになります。いっそう応援しようという気になります。
それは、別に私に限ったことではないでしょう。
人は感謝されるとうれしいし、何かお返しをしたいと思うものです。
ですから、別れ際にしっかり感謝の気持ちが伝えられる人や会社は、多くの人から好かれ応援されて、成長発展していきます。