教育

小学校と放課後等デイサービスの仕事は全然違う⁉

「小学校教員の仕事って、どうでしたか?」

と、放課後等デイサービスの指導員からも尋ねられることがあるので少し書きます。

教員免許があれば、児童指導員として放課後等デイサービスに勤務することができます。

ただ、放課後等デイサービスの指導員と小学校教師の仕事とは、ほぼ同年齢の児童と接するものであっても、まったく違うものです。

詳細について今回は書きませんが、少しばかり紹介しますと・・・

小学校教員時代の無茶な?仕事

私が23年間勤めた私立小学校は創立間もない日本一教師の平均年齢が若い(20台前半)だったこともあり、皆、経験も思慮も浅かったので、いま考えれば無茶苦茶働いていました。

朝8時前には出勤。
朝の職員ミーティングの後は、すぐに教室に行って朝の会。

そして午前中の授業。

待ちに待った給食。

会社員なら昼休みが1時間あるでしょうが、私たちに昼休みはないも同然。子どもと一緒に給食を取りながら、嫌いな物のある子やマナーの悪い子の給食指導をしなくてはなりません。(実質、授業より面倒な仕事です)

その後は、子どもにせがまれて、グラウンドで一緒に遊んでいました。(常に児童のトラブルや怪我などがないように気を配り、喧嘩があれば駆けつけなくてはならないので、実質、仕事)。

サッカーや鬼ごっこなどをして走り回り、休憩時間が終わると、冬の寒い日でも汗だく。

外遊びが終わると、汗をふきふき、5分後には午後の授業に入ります。

終わりの会後、子どもたちが帰って、ほっと一息ついた後、次の日の授業の準備をしたり、学級通信(ある時期は毎日発行)を書いたり、行事の準備をしたり、担当校務の仕事をしたり・・・。

通常18時までは、教員室か教室で仕事をしていました。

同僚の中には、さらに19時、20時まで働いていたので、職員の健康のため、18時以降は「教員室での仕事禁止令」が出たこともありました。

それで、仕事を持ち帰って、夜間や休日にやっている人がいました。(私もたまに・・・)

そういうことを続けていて、辛いとは思いませんでした。

たぶんそれは、自分たちの仕事が子どもたちや保護者の幸せにつながっていると日々実感できたからです。

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ある指導員の悩みと素晴らしい仕事

それと比べると、いま勤務している児童発達支援・放課後等デイサービスは、9時半から18時半までの勤務時間で、昼休みもきっちり1時間取れて、体力的には楽です。

疲れるとしたら、精神的なことでしょうか。

いま自分たちのやっていることが、子どもの(将来の)ためになっているのか、という疑問がときどき湧くことです。

ある先生も言われていました。

「至らない点ばかりで、毎日帰り道、さあ次は何しよう?あの時どうしたらよかったか?自問自答ばかりです。
 大切なお子様を預かり、1日1日の成長を願われ、託された親御様の気持ちを考えると不甲斐なさばかり感じることばかりです」

実は、この先生は、パートで勤務している方ですが、私が見る限り、大変良い指導員です。

ある日、朝から私が保育所に迎えに行った子に、この先生が中心となって様々な発達支援をおこなっていました。

  今日やること

・あいさつ
・あさのじゅんび
・トイレ
・おべんきょう
 (もじ、せんひき、いろぬり、すうじ)
・おやつ
・おひるごはん
  「いただきます」「ごちそうさまでした」
  はみがき、ぶくぶく
・あそび
・トイレ
・かえりのしたく
・あいさつ

ホワイトボードに、「今日やること」が書かれ、できたら花丸をつけていきます。

1つ1つの活動の項目には、この子の成長を願うこの先生の思いが凝縮されていると思いました。

この先生は、子どもの1つ1つの行動に笑顔で声をかけ、ほめたり、促したり、喜んだりして、支援してしていきます。

「トイレ」とありますが、(具体的には書きませんが)これだけでも(この子にとっては)実は大変です。

その他のことも、発達障害のある幼児には難しいことばかりです。

お昼をすぎて、この子が帰るときには、花丸がいっぱいになっていました。

それでも、この先生は、帰り道に今日の自己の指導法を顧みて謙虚に反省する、尊敬すべき方なのです。

実感しがたい仕事の成果

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、子ども一人ひとりのゆっくりした発達に合わせて支援していきます。

発達障害をもった子は、同じことを何度も何度も何度も何度も何度も繰り返さねば、習慣にはならず、自分でできるようにはなりません。

しかも、年齢も障害の度合いも、バラバラです。

小学校で30人の子に一斉授業をして、「本時の目標」を達成することで子どもも教師も喜びを得られる指導とは違い、一人ひとりに寄り添い、向き合い、その子の自立を支援していく、手探りの指導法が要求されます。

私が勤務する事業所でも、ソーシャルスキルトレーニング(SST)や応用行動分析(ABA)などの手法を使って取り組んではいますが、子どもの成長はゆっくりで、その成果は見えにくく、実感しにくいことが多いのです。

ちなみに、昨今、児童発達支援・放課後等デイサービスの数はどんどん増えてきて、いまほとんど飽和状態のようです。

経営者の都合や金儲けを優先する、子どもや保護者の幸せにつながらない児童発達支援・放課後等デイサービスは、保護者たちからそっぽを向かれ、心ある職員も去っていくでしょう。

それで良いと私は思っています。

でも、「大切なお子様を預かり、1日1日の成長を願われ、託された親御様の気持ちを考える」指導員が多くいる所なら、保護者は自分の子どもを託したいと思うのではないでしょうか。

送迎中の車内でも・・・

児童発達支援や放課後等デイサービスの良さの1つは、「車での送迎」でしょうか。

保護者も助かるし、指導員としても、短時間ですが、一対一で話すことができる貴重な時間となりえます。

そう考えて子どもに対すれば、送迎中の車内も教室になりうるし、短いながらも指導や支援をすることができます。

例えば、なかなか言葉がでないので、教室で様々なトレーニングをおこなっているある3歳未満の子の話です。

その子も、勉強が終わった後は、その成果がでるのか、帰りの車中では、結構おしゃべりになります。

と言っても何度も何度も同じ言葉を飽きることなく繰り返すことが多いです。

「なかいせんせい」「はい」
「なかいせんせい」「はい」
「なかいせんせい」「はい」

(ちなみに、この「なかいせんせい」の後には💛マークをつけても良いくらいの言い方なので、答える私に面倒も苦もありません)

「なかいせんせい」「はい」
「なかいせんせい」「はい」
「なかいせんせい」「はい」・・・

逆に「〇〇くん」と言うと、「はい」と、さわやかに答えてくれます。

「なかいせんせい、おうち、かえる?」
「うん、もうすぐ帰るよ」

「おさんぽ、いく?」
「どうかなあ?後でお母さんに聞いてみようかな」

自宅に着いてお母さんに聞くと、「そうなんです。帰ったらお散歩に行こうねって、約束してたんです。ありがとうございます」と、うれしそうにおっしゃいました。

この子も、少しずつですが、日々、成長していることをお母さんも感じることができたのでしょうか。

このような親子の笑顔に接するときが、この仕事にはやはり価値があると思える瞬間です。

できれば、先の「自問自答」「不甲斐なさばかり感じる」、あの尊敬すべき先生にも見せてあげたいと思うのです。

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