放課後等デイサービスは、障害を持った6歳から18歳までの児童を対象とする児童福祉サービスの一つです。
児童発達支援事業と併合している事業所もあり、その場合、未就学児の児童(2歳から5歳くらいの幼児)も受け入れています。
放課後等デイサービスの利用者数も事業所数も、近年増えています。
なぜ保護者は、放課後等デイサービスの利用を望まれるのでしょう。
多くの場合、次のような理由です。
1.わが子が将来のために自立して生活できる力(基本的な生活スキルやコミュニケーションスキル)を身につけてほしい。
2.わが子が放課後にのびのび安全に過ごせる居場所がほしい。
3.親が仕事で忙しいので預かってほしい。
これらのうち1つか、あるいは複数の理由によって、放課後等デイサービスを利用されている保護者がほとんどかと思います。
では、多種多様化する放課後等デイサービスの中で、このような保護者の願いをかなえる事業所は、どのように探せばよいのでしょうか。
放課後等デイサービスの選び方
放課後等デイサービスの教室は、年々増え、受けられるサービスも多様化しています。
発達障害のお子さんも一人ひとり違いますので、わが子に合うところはどこなのか、よくよく見極めたいですね。
HPや口コミなどで、気になる教室を見つけたら、連絡を入れてみましょう。
まずは、見学に行くことをおすすめします。
保護者と実際に通う子どもが足を運び、ここなら安心と思えるところを探し出すことが大切です。
発達障害のお子さんはデリケートですが、良い先生やスタッフの方と出会えば伸びていく可能性を持っているからです。
保護者が良いと思っても、本人が合わないということもあります。
性急に決めずに、複数の教室を見学して、お子さんに最も合いそうな事業所を選ばれたら良いと思います。
放課後等デイサービスの違い
見学前に、放課後等デイサービスは、どんな違いがあるのかを知っておいたほうがよろしいかと思います。
教室によって指導の仕方が全然、違います。
大きく分けると下記の3タイプ。
わが子に合うのはどれか、親の希望はどれか、考えておくと選びやすいでしょう。
A)学童保育タイプ
小学校の学童のように自由な時間が多いのが特徴的です。
宿題はする時間がありますが、その他は、おやつ、おもちゃでの遊び、公園遊び、掃除、みんなでできるゲームなどをして過ごすことが多いようです。
預けている間はずっと自由ではなく、時間を区切って宿題をしたり、遊んだりしているところがほとんどなので、集団行動の中での切り替えなどは学べます。
特に、学校で友だちがなかなかできないような子にはおすすめです。
そのままではコミュニケーション能力が育ちにくいため、友だちと遊べる場を作ってあげれば、自然にコミュニケーション能力も磨かれていきます。
私がいま勤務している事業所は、このタイプです。
児童発達支援・放課後等デイサービスを併合しており、幼児も多数、受け入れています。
幼児から小学生が高校生も時々)通っていて、一人っ子の小学生が幼児と遊んだり、面倒を見てあげたり、家に居てはできないような貴重な経験ができています。
特に兄弟が少ない子や友達との交流が少ない子は、年齢・性別の違う子たちとふれあう機会が増え、互いに学び合えるというというメリットもあります。
B)療育タイプ
障害児のための療育が組み込まれたプログラムがあります。
個別や集団の中で学習や遊びを通してコミュニケーション能力や社会性の向上のために指導もおこなっています。
私が以前勤めていた事業所でも、応用行動分析(ABA)やソーシャルスキルトレーニング(SST)に積極的に取り組んでいました。
一人一人に合わせた指導を行ってくれるところが多いため、専門的な療育を受けたいと思っているのであればこちらの施設が向いているでしょう。
できれば、専門資格を持った作業療法士や言語聴覚士、理学療法士がいる施設を選ばれたほうがよいでしょう。
やはり専門家が指導をしてくれる点で安心感もありますし、何かあった時に相談しやすいのも魅力です。
具体的には発音の訓練が行われたり、姿勢の調整などを教えてれたりと、一人ひとりに合わせた内容が組まれます。
療育タイプにも、いろいろありますので、見学に行って、お子さんに合ったサービスを提供できる事業所を選ばれると良いでしょう。
C)習い事タイプ
子どもに習い事をさせたいと思っているけれど、一般のおけいこ教室に通わせるのには少し不安があるという方にはおすすめです。
障害児向けに指導があるので、一般のおけいこ教室よりもお子さんも入りやすいでしょう。
習い事の種類にもいろいろあります。
例えば、スポーツや運動・体操、音楽、ダンス、絵画、料理などのプログラム。
最近はパソコン指導を取り入れて、プログラミングの指導をしているところもあります。
習い事タイプは、子どもが興味を持っているものや将来的なことを見据えて選択できます。
結果、子どもの得意分野が見つかり、好きなことへの能力を伸ばしてあげられるというメリットがあります。
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以上の3タイプは、はっきりと区別できるものではなく、(A)(B)(C)のタイプが混在している放課後等デイサービスもあります。
選び方のポイント
見学をして、教室の担当者と面談をした際、何でも疑問や心配なことは聞いておくと良いでしょう。親身に相談にのってくれるかということも大事です。
一度の見学で見極めるのは難しいですが、下記のポイントも参考にしていただければ幸いです。
(1)指導内容が子どもに合っているか
どのような指導内容を行っているかは放課後等デイサービスによって異なります。
そのため、指導内容の中身詳細については事前によく確認しておいてください。
他の子に合っている指導だったとしても、必ずしもわが子に合っているとは限りません。
またHPには古い情報を紹介しており、現在は違うのに、修正も更新もされていない事業所もあります。
(2)先生の対応は適切か
放課後等デイサービスによってマニュアルが違う(ほとんどマニュアル化されていないところもある)ため、物事に対する対応も違います。
気になることがあったら、どのように対応してくれるのか直接確認してみましょう。
ただ単にマニュアルに沿って対応をしてくれるだけでなく、一人ひとりの状態を良く見極めて対応してくれる先生がそろっていることも重要になってきます。
先生の質や力量は、学歴や資格とあまり関係ないと私は経験上考えています。
一人二人の優れた先生が居ても、職員間に十分な連携や研修の時間が取れていないため、先生によって子どもへの対応が大きく異なる事業所もあります。
(3)教室の雰囲気や他のお子さんはどうか
わが子が楽しく安心して過ごせるかどうかを大きく左右するのが、他のお子さんの様子や雰囲気です。
明らかに自分の子どもと合わないお子さんがいた場合、他の放課後等デイサービスを検討する必要も出てくるかもしれません。
雰囲気は、実際に足を運んでみなければわかりません。
放課後等デイサービスとして運営している以上、どこでも同じなのでは?と思うかもしれませんが、施設によって全然違います。
どんなお子さんが通っているのか、子どもたちに先生がどんな対応や指導をしているのか、よく見てご判断くださいね。
(4)自分(保護者)が求めるものがあるか
放課後等デイサービスに対してどのようなことを求めているのか、よく考えた上で比較することも大切です。
自分で求めているカリキュラムがはっきりしていないと放課後等デイサービス選びも難しくなってしまいます。
施設選びに迷った場合は、自分一人で悩んでしまうのではなく、学校の先生や友人にアドバイスを求めるなど周りに相談した上で最適な放課後等デイサービス探しをしたほうがよろしいかと思います。
(5)わが子がどう思うか
実際に見学してみて、親の意向もですが、お子さんが気にいるかどうかも、重要です。
通って、長い時間がを過ごすのはお子さんですから、お子さんが喜んで通える事業所を選びたいものです。
以上です。
ご希望がすべて叶うことは、まずないと思いますが、お子さんにも保護者にも、より安心できる教室(事業所)が見つかれば幸いに思います。