多治見市の教育長だった村瀬登志夫さんは、中学生の頃から手帳に書きためていた「いい言葉」を選出し、平成22年から23年にかけて小冊子にまとめられました。
『生き方サプリメント101錠』というタイトルで自費出版。それを、学校や職場、広く社会で役立ててもらえればと、教育関係者や知人に無料配布されました。
驚くべきことに、第1集6刷(約6万部) 第2集4刷(約5万部以上) 第3集2刷(約4万部)と、合計153,100部もです。
つまり、15万部以上も自費で作って、無料で配布してこられたのです!
ものすごいことです!
さらに、その10年後、令和3年5月、新たに第4集を加えて、『生き方サプリメント101錠 第1集~第4集 合冊版』(1万部)を発行。合冊版なので、実際は404の言葉が収録されています。
「はじめに」には、「本書は、私の生き方、考え方を記した自伝のようなものだと思います」とありますが、ただの自伝ではなく、多くの人の人生に役立つ、まさに「生き方サプリメント」だと思います。
「新型コロナウイルスは、私たちの生活をすっかり変えてしまいました。しばらくは、コロナウイルスを意識し、感染予防の生活が続くでしょう。おそらくストレスがたまり、苦しいこともあるでしょうが、そのようなとき、本書が生き方のサプリメントとして少しでもお役に立てば幸いです」
という村瀬さんの願いも記されてありました。
では、その中(第4集)から3つの言葉をご紹介します。
トラブルは主役に起きる
ある講演で村瀬さんが聴いた言葉です。
「ドラマでトラブルに巻き込まれるのは主役です。通行人とか、その他大勢の役目には起きません。・・・だから、トラブルが自身に起きたら、それは自分が主役だからだと、思うことです」
人生の主役も自分自身です。
その人生は毎日、平穏無事だと限りません。
波瀾万丈とまではいかなくても、病気、事故、受験の失敗、仕事上の失敗、家族や愛する人との仲違い、裏切り、別れなど、様々なトラブルがあるものです。
その時は、苦しいかもしれませんが、ドラマがトラブルがあって盛り上げるように、人生にも試練があるからこそ、面白みや重みが増すものです。
後で振り返り、あのことがあってよかったな、と思える日が来るかもしれません。
西郷隆盛 十の「訓え」
一 迷ったときは、「損得」でなく「善悪」で判断せよ。
二 「正道」を行ない、それを楽しめ。
三 「分をわきまえる」ほど、強くなる。
四 「勇気」だけは、誰にも負けてはならない。
五 理不尽は理不尽のままでよい。自分が理不尽なことをせねばよい。
六 「恩」は返せ。「恨み」は晴らせ。
七 「当たり前」とは、不測の事態が起こること。
八 自分を大事にしすぎるな。すべての悪事はそこから生じる。
九 恥は堂々とかけばいい。
十 「天」に問え。
この教えを私は知りませんでした。特に共感したのは、次の3つです。
二 「正道」を行ない、それを楽しめ。
正しいことは、窮屈な思いではなく、楽しみながら行っていければと私も思います。
九 恥は堂々とかけばいい。
人の目や失敗を気にせず、勇気をもってやれたらいいと私も思います。
十 「天」に問え。
「敬天愛人(けいてんあいじん)」をモットーとしていた西郷らしい教えです。
事をおこなうとき、天に問いかけると、自分がなすべきこと、辿るべき道が示されると私も思います。
十の上手
「人間関係を円滑にするための、わざ」として次の「十の上手」が紹介されていました。
・お礼上手 ・お詫び上手 ・聞き上手 ・いたわり上手 ・褒め上手 ・叱り上手 ・励まし上手 ・乗せ上手 ・喜ばせ上手 ・世話上手
こんな上手ができれば、確かに人間関係は円滑になるでしょう。
「喜ばせ上手」で、思い出しました。
村瀬さんは、ある会合で自己紹介のとき、手品を披露してくださったことがあります。会場は和やかな喜びが広がりました。
『生き方サプリメント101錠 合冊版』の中の「手品を見て怒り出す人はいない」にあったのですが、村瀬さんは、校長になってから本格的に手品に取り組んだそうです。
生徒に話をするときに話の内容に合わせて披露したり、校長室を訪れた生徒にみせたりしたとのこと。きっと生徒に大うけしたでしょうね。